元禄小判(げんろくこばん)は元禄8年(1695年)~宝永7年(1710年)につくられた小判です。
この時期は金の採掘で有名な佐渡金山の金が以前のように採掘できない状態にありました。枯渇までは進んでいないものの、純度の高い小判などの金貨を大量につくることができませんでした。
一方人口は増加傾向にあり、庶民の人数が増えたぶん、必要な貨幣も増える事態に陥っていました。
そこで幕府はこれまで通りの鋳造数を維持するため、金の純度が低い小判を大量につくる計画を立てます。そうしてつくられた小判が元禄小判です。
表面には畳のような模様と金額を表す壱両の文字、そして小判の上下には扇型の中に桐の花が彫られています。
裏面は左下に小判をつくった職人のサインと、元禄を表す『元』の文字が彫られています。
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プレミア価値を持つ『大吉』とは?
当時、判金はひとつずつ手作りだったので、完成時には職人がサインを刻印していました。作成した職人の親方と、作成した職人本人の名前を一文字ずつ、小判裏面の左下に刻印します。
親方→職人と地位の高い順に名前を彫るこの習わしですが、親方のサインが『大』、職人のサインが『吉』となることがあります。二つあわせて『大吉』と読めるため、当時から縁起が良いと人気でした。
この刻印には現代でも高い価値が認められており、大吉の有無だけで同じ小判でも価格がかなり異なります。
偶然大吉と献上大吉の見分け方
偶然大吉と献上大吉、どちらも『大吉』のサインがありますが、見分けることができます。献上用目的で丁寧につくられた献上大吉は、外枠の触感がなめらかできれいな仕上がりです。
一方、偶然大吉は流通目的の金貨の刻印が、思いがけず大吉になった金貨のため、献上大吉よりも外枠がきれいではありません。
さらに大吉の文字自体も献上大吉のほうがしっかりと打ってあるため、一見して大吉とすぐにわかる外枠がきれいな金貨は、献上大吉の可能性が高いでしょう。
元禄小判の種類と価格
大判小判は裏面の職人のサインによってプレミア価格がつく場合があります。しかし元禄小判はサインとは別に、『長元』と『短元』といった特徴によって価格が変動します。
また貨幣鋳造の記録のなかには、元禄小判にも『佐渡判』と呼ばれるものがありますが、現在に至るまで見つかっていないです。
もし佐渡判を見つけられたとしたら、博物館に展示できるほど珍しいものなので、大吉を超える高額が期待できるでしょう。
元禄小判は他の小判より細かい文字や繊細な桐の花の刻印が、コレクターから好まれており、現存数の多さに対してプレミアが高いという特徴もあります。
以下が種類一覧となりますが、記載している価格は状態が非常に良い場合での参考買取価格になります。その点ご留意ください。
元禄小判 長元
元禄小判のなかで長元と分類される小判は、そのほかの元禄小判と比べ、裏面の『元』の書体が異なります。中央やや左にカタカナの『ネ』に似た文字が彫られていますが、これが元の字です。
この元の字の4画目が文字の半分より上まで跳ねている状態が『長元』です。
後に紹介する短元と比べるとわかりやすいですが、極端に跳ねている書体ではないため、コレクターでないと判断は難しいでしょう。
また元の字も、現在多く使われている楷書体ではないため、書道に馴染みのない方はなおさら判断がつきにくいデザインともいえます。
後に紹介する短元よりも長元のほうが価格が低い傾向にありますが、多少品質が低いと判断される状態であっても、100万円の値がついたケースもあります。
小判のなかでも比較的高い価値からは、元禄小判がコレクターに人気であることがうかがえます。
元禄小判 短元
元禄小判で短元に分類される小判は、裏面の『元』の字の4画目が短いです。
文字の半分より下までしか4画目が伸びていない点、跳ね方がU字に似ている点、その二点が長元との見た目の違いで挙げられます。
しかし短元もまた1枚だけで判別することは難しいです。
短元は品質を問わず、長元よりも高額であるケースが多いので、同じ元禄小判でも短元のほうがお得といえます。
多少汚れがある状態でも200万円以上の価格がついたこともある、高額が期待される小判です。
元禄小判 偶然大吉(げんろくこばん ぐうぜんだいきち)
元禄小判の中にも、偶然『大吉』の刻印がされたと判断された小判が見つかっています。偶然とはいえ小判の裏面に大吉の文字がある小判は見た時に心が躍ります。
金の純度が低い小判といわれていますが、現存数が少ない元禄小判はコレクターからの需要が高いです。
そのプレミア価格は偶然大吉の価格を見るとあきらかで、品質が低い時で300万円以上、かなり状態が良いと600万の値がつくこともありました。
あくまで一例ですが、それほど小判という金貨の価値はプレミアに左右されるのです。