アメリカ自由の女神がモチーフであるダブルイーグル20ドル金貨は、その美しいデザインと希少性から『アメリカで最も美しい金貨』の1つと称されています。
この名高い金貨のデザインを手がけたのは、彫刻家オーガストス・セント・ゴーデンズ。彼の名にちなんで、「セントゴーデンズ金貨」とも呼ばれています。
この金貨を売却しようと考えている方の中には、「この金貨にはどのくらいの価値があるのか?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、世界的にも評価の高いオーガストス・セント・ゴーデンズが手がけた金貨の種類や、その価値について詳しくご紹介します。
金貨だけではない!自然主義的手法の彫刻家オーガストス・セント・ゴーデンズとは?
メトロポリタン美術館にあるダイアナ像(中央)はオーガストス・セント・ゴーデンズ作の彫刻
オーガストス・セント・ゴーデンズは、アメリカを代表する彫刻家の一人です。
1848年、アイルランドのダブリンで生まれ、幼い頃に家族とともにニューヨークへ移住しました。
その後、フランス・パリの国立美術学校で彫刻を学び、イタリアでルネサンス期の彫刻に触れることで大きな影響を受けました。
彼の作風は、写実的な「自然主義」を特徴としており、その緻密で優美な表現力で高い評価を得ました。
ここでいう「自然主義」とは、美術において自然の形や人間の身体を忠実に再現しようとする表現手法を指します。
古代ギリシャ・ローマ美術やイタリア・ルネサンス期の作品が、その代表例として知られています。
セント・ゴーデンズは1880年代以降、数多くの記念碑や公共彫刻の制作に携わり、アメリカ彫刻界を代表する存在として指導的な立場でも活躍しました。
彼の代表作の一つとして、ニューヨークのメトロポリタン美術館に展示されている『ダイアナ像』(弓を構える女性像)があります。
アメリカで最も美しいと有名・セント・ゴーデンズの金貨と時代背景
2009年に単独発行された k24製ウルトラハイレリーフ ダブルイーグル 20ドル金貨
オーガストス・セント・ゴーデンズがデザインした金貨は、1907年から1933年にかけて鋳造・発行されました。
これは、第26代アメリカ大統領セオドア・ルーズベルトの依頼によって実現したものです。
この金貨は主に国際貿易の決済手段として使用され、海外への支払いに用いられました。
しかし、1933年4月5日、当時のフランクリン・ルーズベルト大統領が発令した「金保有禁止令」によって、国内に保管されていた金貨のほとんどが回収・溶解されることになります。
そのため、現存するセント・ゴーデンズ金貨の多くは、国外で保管されていたものであり、現存数が限られていることから、希少性が高く、高値で取引される傾向があります。
この金貨のデザインも特筆すべき点です。
表面には右手にトーチ、左手にオリーブの枝を掲げた自由の女神が描かれており、裏面にはアメリカ合衆国の国鳥であるハクトウワシが飛翔する姿が描かれています。
その芸術性と歴史的背景から、セント・ゴーデンズの金貨は「アメリカで最も美しい金貨」とも称され、多くのコレクターや投資家から高く評価されています。
発行枚数と年度の種類で違う・セント・ゴーデンズ金貨の価値は?
金貨の価値は、基本的に金相場と重さによって決まります。
しかし、発行枚数が少ない・デザイン性が高い・特殊加工が施されているといった条件を満たすと、希少性が加味され、相場以上のプレミア価格で取引されることもあります。
オーガストス・セント・ゴーデンズのコインはどうでしょうか?
このコインは、芸術性の高いデザインと発行から100年以上という経年価値により、世界中で非常に人気があります。
市場価格は一般的なもので数十万円から、高額なものでは数百万円以上で取引されています。
中でも特に評価が高いのが、1907年に発行された「エクストラハイリリーフ」と呼ばれるタイプです。
試作品に近い位置づけで発行枚数が極端に少なく、なかには「レタードエッジ(縁に文字入り)」タイプといった超希少品も存在します。
これらは数千万円~数億円の価格で海外オークションに出品された例もあり、まさに市場では“幻の金貨”とされています。
また、1908年から1915年にかけてはプルーフ加工されたオーガストス・セント・ゴーデンズの金貨が発行されています。
プルーフ加工とは、コレクター向けに表面を鏡の様にきれいに磨く技術のことです。こちらも発行枚数が少なく、高値で取引される傾向にあります。
一方で、発行枚数が多かった年度の金貨は比較的価値が落ち着いています。例えば、1928年度は800万枚以上が鋳造されたため、買取相場は前述のレア金貨に比べて低めです。
コレクター垂涎の的、ダブルイーグル20ドル金貨にはどのような種類が?
オーガストス・セント・ゴーデンズが手掛けた金貨には、デザイン性・歴史的背景・希少性に優れた複数の種類があります。ここでは、とくに注目度の高い3種類をご紹介します。
試作金貨のため希少性が高い!エクストラハイリリーフ(1907)
エクストラハイリリーフ金貨は、20ドル金貨で重量約33g、直径34mm、素材は金です。
前述のとおり、この金貨は流通用ではなく、発行前の「試作金貨」として製造されたものです。
そのため、発行枚数が極めて少ないことから、コレクター市場では非常に高い評価を受けています。
また、この金貨は表面の浮き彫りが非常に深く、他の金貨と比べても輝きや光沢が強く、芸術性の高さも魅力のひとつです。
ワイヤーエッジとフラットエッジの2種類あり!ハイリリーフ(1907)
同じく1907年に発行された「ハイリリーフ」金貨も、重量約33g、直径34mmの20ドル金貨です。こちらは試作品ではなく、流通を前提として1万2,367枚が発行されました。
その後、アメリカ造幣局の主任彫刻師チャールズ・バーバーの手によって設計が簡略化され、以降の量産体制に繋がっていきます。
このハイリリーフ金貨には、「ワイヤーエッジ」と「フラットエッジ」の2つのタイプがあります。
- ワイヤーエッジ:縁に細い盛り上がり(溝)があるのが特徴
- フラットエッジ:縁が平らで滑らか
一般的に、フラットエッジタイプのほうが市場価格は高い傾向にあります。
「IN GOD WE TRUST」が刻まれた希少金貨!モットー入り(1908)
このモデルも20ドル金貨で、重量約33g。セント・ゴーデンズ金貨は当初「IN GOD WE TRUST(我々は神を信じる)」というモットーの刻印が裏面にありませんでした。
1908年、連邦議会の要請により、この標語が初めて刻まれるようになりましたが、その最初期に発行されたモットー入り金貨は特に希少価値が高く、コレクターにとっては垂涎の的とされています。
ちなみにこの「IN GOD WE TRUST」は、1864年に硬貨へ初めて採用され、1956年にはアメリカ合衆国の公式標語となりました。
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