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中国で誕生した銅貨「永楽通宝」は、一時期日本に大量に流入し、一般的な通貨として庶民の間に流通していました。
有名なところでは、織田信長の旗印にも使われている永楽通宝をここで特集します!
永楽通宝とは、中国明代の第3代皇帝永楽帝の永楽9年(1411年)より鋳造されはじめた銅製の銭貨で、永楽銭・永銭などと呼ばれていました。
日本では室町時代に日明貿易や倭寇によって大量に輸入され、江戸時代初頭まで一般的な通貨として普及。
ほかの中国渡来銭や日本が鋳造した鐚(びた)銭よりも価値が高く、標準貨とされたのです。
ちなみに「びた一文やらない」という言葉がありますが、その「びた」とは鐚銭からきています。
永楽通宝の形状は円形で、中心部に正方形の穴が開いており、表面には「永樂通寳」の文字が上下右左の順に刻印されています。
材質は銅製、貨幣価値は1文として通用しましたが、日本では天正年間以降、永楽通宝1枚が鐚銭4文分と等価とされました。
なお、この永楽通宝は戦国武将にゆかりのある穴銭でもあります。どのように関連しているかは、ここで紹介していきます。
永楽通宝の当時の価値は、現在の日本円で50~100円だったと言われています。
同時期、質が悪いものや偽物などが大量に出回っていたことから、正確に現在の価値に置き換えるのが難しく50~100円と金額に大きな差があります。
誰もが知る日本の武将・織田信長の掲げる旗の印が永楽通宝だったことをご存じでしょうか。
信長がなぜ、旗印に永楽通宝を選んだのか、その意向がわかる本人の言葉や資料などは残されていません。
信長は流通や政治に関心が深く、楽市楽座などの自由な経済政策を展開していった人物です。だからこそ、貨幣流通にもいち早く注目していたのではないかと言われています。
また、信長の強さは農繁期でも戦える常備兵を作り上げたことにあり、その常備兵を“銭”で雇用していたことから、永楽通宝が信長軍のシンボルとなったとの説もあります。
そしてもうひとり、永楽銭とゆかりがある武将がいます。それは、仙石秀久。
彼は若き頃に信長に気に入られ、その後信長の家紋だった永楽通宝を与えられた事で、自らの家紋として使いはじめました。
「永楽」という言葉の縁起の良さを買って使用したという説もあるようです。
永楽通宝には3つの種類が存在します。
同じ穴銭の「寛永通宝」のように種類は多くないですが、お金さえあれば手に入る、というわけではなく、存在そのものが非常にレアで入手困難となっています。
金で作られた永楽通宝の金銭。市場に出回ることは滅多にありません。
価値が高いゆえに、偽物も多く存在します。買取時には、状態によって約数十万~100万円前後で取引が行われます。
銀で作られた銀銭。素材に銀が使われているため、金銭の次に希少価値がある永楽通宝です。素材が銀であることと希少価値から、数千円~数十万円が買取相場となっています。
また、刻まれている書体によって価値が変わります。
一番一般的な銅銭の永楽通宝で、当時大量生産されました。そのため、特定の条件を満たす貨幣以外は、まとまった枚数で~100円といった形での値付けとなります。
なお、特定の条件を満たすレアな貨幣は数千円の値が付きます。
ここでは、持っている永楽通宝が高く売れるかどうかを見極めるポイントと、永楽通宝を少しでも高価買取してもらうための保管方法を紹介します。
永楽通宝のなかで価値のあるものに、書体とエラー銭と製作技法があります。それぞれひとつずつ解説していきましょう。
永楽通宝はさまざまな書体のものがあり、それによって価値が変わります。
エラー銭とは、製造過程で不具合などがあり、正常に作られなかった銭貨のことです。基本的にエラー銭は弾かれ、市場に出回ることはありません。
ですが、ごく稀に市場に現れることがあり、その場合高価買取の対象となります。
【エラー銭の種類】
制作技法の違いでも査定に違いが出てきます。永楽通宝の金銭と銀銭は、鋳造で作られたものと打製で作られたものがあります。
鋳造は金属を溶かして液状にし、型に流し込む製作技法です。一方、打製は「たがね」と呼ばれる工具で刻印文字を打つ製作技法です。
打製は溶かすなどの工程がないため、金や銀の純度が高く、そのぶん高額査定されやすいと言われています。
永楽通宝をはじめ、古銭を高く売るにはきれいな状態を保つことが大事です。そのための保管方法をご紹介します。
劣化の要因となるのが手垢や皮脂などの汚れがついた状態で放置してしまうこと。ほかにも高温多湿の場所に保管した場合は、劣化や変色の原因になります。
それらを防ぐには、市販のコレクション用コインホルダーを利用すること。そうすれば、種類ごとに整理が可能です。
なお、保管場所もカビなどを防ぐために風通しがよく、直射日光が当たらない場所に保管することが大事になります。
サビを磨いたり、洗浄してピカピカにすることで価値が上がると思いがちですがそうではありません。汚れや経年劣化は古銭の持つ味や価値となります。
サビは入り方や色までもが美しさのひとつなのです。
クリーニングをすると見た目が大きく変化し、古銭の価値を下げてしまいます。現代の最新技術で磨き上げたとしても鋳造された状態にはなりません。
美しく磨くのではなく、今よりも状態を悪くしないように保管することをおすすめします。
古銭はデリケートですので、正しい保管方法を身につけて実行していくことが大事になります。
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