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茨城県の記念硬貨一覧

地方自治法施行60周年記念貨幣(茨城県)　1,000円銀貨幣

地方自治法施行60周年記念貨幣は、日本の貨幣としては珍しいカラーコインです。表面に刻まれた都道府県を代表する名所や名産物が、カラーで鮮やかに再現されています。

茨城県のデザインは、日本初の国産ロケットとなるH-Ⅱロケット、そして、古くから信仰の対象となった筑波山です。

また、裏面は全都道府県共通で雪と月と桜の花がデザインされています。この3つの組み合わせは、白居易の漢詩「寄殷協律（いんけいりつによす）」の一節である「雪月花時最憶君」に由来する自然の美しさを表現した言葉です。

日本においては、伝統的な美の感覚を想起させる言葉として、衣服や絵画などを筆頭にさまざまな文物に取り入れられています。

この硬貨の素晴らしさは、そのデザイン性だけではなく、随所に施された偽造防止技術にも現れています。

たとえば、裏面の最も大きな雪の結晶には「60」と「47」の文字が浮かび上がる潜像加工が施されています。見る角度によって浮かび上がる模様が変わる潜像加工は、この硬貨が初です。

ほかにも側面にある斜めのギザや各所に施された微細点、微細線加工など、日本が誇る偽造防止技術の数々が惜しげなく用いられています。

地方自治法施行60周年記念貨幣(茨城県)　500円バイカラー・クラッド貨幣

地方自治法施行60周年記念の500円記念硬貨は、日本では初となるバイカラー・クラッド技術が用いられています。

ユーロ硬貨やカナダドル硬貨など、海外では採用例の多いバイカラー・クラッド技術は、異なる種類の金属板をサンドイッチ状に挟みこむ「クラッド」技術と、そうして作られた円板を別の金属にはめ込む「バイカラー」技術の両方を用いた硬貨です。

そのため、硬貨の中心部分と縁で色味が異なっています。

表面の図案は、都道府県を代表する名所や名産品がモチーフです。

茨城県の図案は、日本三名園に数えられる水戸市の偕楽園、そして、梅です。偕楽園を代表する建物である好文亭を背景に、見事な枝ぶりの梅が咲き誇っています。

裏面は日本の古銭をモチーフにしています。丸に四角い穴が開いており、その穴の四方に「地方自治」の4文字が刻まれています。

この四角い穴は、硬貨を傾けると地方自治法施行60年にちなんだ「60」と47都道府県を示す「47」の文字が浮かび上がる潜像加工が施されており、偽造防止に役立っています。

【1,000円記念硬貨の表面「筑波山」】

筑波山はつくば市の北部に位置する標高877mの山です。

日本百名山のなかでは最も標高の低い山ですが、周囲を遮るものが全く存在しないため、関東平野を一望できる絶好のロケーションを誇ります。

そんな筑波山は、古くからの信仰と最新の科学技術が集まる何とも奇妙な山です。

西の富士、東の筑波

筑波山は、古くから「西の富士、東の筑波」と称されるほど、富士山と対比されてきた山です。

たとえば江戸時代の浮世絵師である歌川広重は、江戸の街からの地平線を書くときに西側の風景には富士山を、北や北東の風景には筑波山を書くことがほとんどでした。

広大な関東平野のなかに悠々とそびえる筑波山が、それだけランドマークとして頼られていた証拠ではないでしょうか。

また、「常陸国風土記」には、古くから筑波山周辺で地元住民たちによる大規模な祭りが行われていたことが記録されています。

この祭りについても、富士山と対比された伝承が伝わっています。伝承によると、諸国を巡り歩いていた神祖尊（みおやのみこと）が、富士の神と筑波の神のもとに訪れ、宿を借りようとしたところ、富士の神はこれを断り、筑波の神は快く受け入れたといいます。

その結果、筑波山は昼夜を問わず人が集まる場所になったそうです。

このように伝承や絵画でも富士山と対比される筑波山ですが、現代でも関東平野を西側から望む富士山と、東側から望む筑波山として、その展望の素晴らしさがしばしば比較されます。

神話と伝説の山

筑波山は山全体が、山頂に座する筑波山神社の御神体として扱われています。

また、中腹から山頂までが神社の境内に指定されており、植物の損傷や採取、動物の捕獲などが固く禁じられています。

筑波山神社の創建は有史以前にさかのぼるとされ、それこそ関東平野に日本人が定住を開始した時代には、既に崇められていたとも考えられているほど、歴史の長い神社です。

また、筑波山は西側の男体山と東側の女体山の2つの峰を持つ山です。

その山容から自然とそれぞれの山頂に対比する2柱の神が祭られるようになったとされ、それぞれの山頂にある本殿にはイザナギノミコトとイザナミノミコトが祭られています。

このほか、筑波山は数々の巨石、奇岩が存在することでも有名です。多くの岩にそれぞれ伝説が残されており、山そのものが神域となっています。

関東地方を守る砦

神話的な性格の強い筑波山ですが、関東平野の北東部に位置し、周囲に高い山がないことから関東地方における気象観測・無線通信の重要な拠点にもなっています。

特に、筑波大学と筑波山神社が共同で管理する気象観測所は、水文学の研究やヒートアイランド現象の調査など数々の調査に使われています。

特に、関東地方への降雪予報は非常に高い的中率です。最新機器の誇る観測技術と有史以前から関東平野を見続けていた筑波山神社の協力という、ほかにはない協力タッグによって、関東地方は今日も守られています。

【つくば市の記念メダル「国際科学技術博覧会つくばEXPO’85」】

つくば市は市全域が筑波研究学園都市に指定されています。

国立の研究機関や大学のほか、化学・製薬・建築など業種の全く異なる民間企業が自社の研究所を運営しており、まさに日本の最先端技術が集まる場所といっても過言ではないでしょう。

そんなつくば市の記念メダルは、1985年に同市で開催された国際技術博覧会を記念するものです。

期待される未来の技術

1985年に開催された国際技術博覧会は、「人間・居住・環境と科学技術」をテーマに、日本を含む48か国、37の国際機関が参加した万博です。

この万博では、当時の技術の数々が初公開されました。

たとえば、ネット通信には欠かせない光ファイバー。公開された当時は東京の一部でしか使えない光ファイバーによる通信技術が披露され、遠く離れた場所とのシームレスなやり取りができることを見せました。

ほかにも、指向性スピーカーや偏光膜加工による3Ｄ映像の放映など、21世紀になった今では当たり前になってしまった数々の技術が披露されていました。

もちろん、茨城の地に縁の深い日立グループや三菱重工なども、当時研究中であった最先端技術を積極的に公開しています。

自然との共生を夢見て

この万博が開催された年代は、オイルショックによるエネルギー問題を筆頭に、湿地保護のラムサール条約、オゾン層保護のウィーン条約など環境保護に向けた意識が、日本でも世界でも加速度的に高まっていた時代です。

きらびやかで人の生活を楽にする科学技術がある一方で、日本ガス協会が披露した廃熱を利用したガスエンジンや、開催地である筑波研究学園都市による核融合炉の模型展示など、現代の我々にとっても無視できないエネルギー問題を考えるものもありました。

それだけではなく、各パビリオンでも建設におけるコストカット、電灯の数を減らし外光を取り入れることによって期間中の照明コストをカットするなど、環境を意識した取り組みが数多く行われています。

科学技術の発展と自然環境の保護は、決して両立できないものではないでしょう。

このメダルを手にした方は、これからの人間と環境のことについて考えてみてはいかがでしょうか。