天保五両判(てんぽうごりょうばん)は天保8年(1837年)~天保14年(1843年)にかけて発行された小判です。
基本的に、判金(ばんきん。大判金・小判金の両方を指す)はわかりやすく判別できるよう「(元号名)+(大判・小判)」の名前になっていますが、この天保五両判には金額を示す『五両』がその名に付け加えられています。
そんな天保五両判の中でも特に価値が高いのは『献上大吉』という種類。これは裏面に『大』『吉』と刻印されている点が特徴です。この種類の場合、他の種類と比べて1.5倍程度の買取価格になる可能性があります。
付加価値の高い小判の買取価格は市場価格や在庫状況によって変化する為、最新の価格については『無料査定のお申し込み』や『お電話(0120-9610-66/受付時間10:00~18:00)』からお問い合わせください。
プレミア価値を持つ『大吉』とは?
当時、判金はひとつずつ手作りだったので、完成時には職人がサインを刻印していました。作成した職人の親方と、作成した職人本人の名前を一文字ずつ、小判裏面の左下に刻印します。
親方→職人と地位の高い順に名前を彫るこの習わしですが、親方のサインが『大』、職人のサインが『吉』となることがあります。二つあわせて『大吉』と読めるため、当時から縁起が良いと人気でした。
この刻印には現代でも高い価値が認められており、大吉の有無だけで同じ小判でも価格がかなり異なります。
偶然大吉と献上大吉の見分け方
偶然大吉と献上大吉、どちらも『大吉』のサインがありますが、見分けることができます。献上用目的で丁寧につくられた献上大吉は、外枠の触感がなめらかできれいな仕上がりです。
一方、偶然大吉は流通目的の金貨の刻印が、思いがけず大吉になった金貨のため、献上大吉よりも外枠がきれいではありません。
さらに大吉の文字自体も献上大吉のほうがしっかりと打ってあるため、一見して大吉とすぐにわかる外枠がきれいな金貨は、献上大吉の可能性が高いでしょう。
天保五両判の種類と価格
天保五両判は1856年(安政3年)まで貨幣として使用されており、江戸時代の判金で5両の額面を持つのはこの天保五両判のみです。
現代とは貨幣価値も物価も違いますが、当時の1両は庶民にとってかなり裕福な生活ができる金額です。
1両で3~4人ぶんの生活がしばらくまかなえたといわれており、5両もあれば1人が1年仕事をしないで暮らせるくらいの価値がこの小判にはありました。それほど幕府が天保五両判に期待を込めていたことがわかります。
なお天保五両判は短期間の鋳造であったためバリエーションも総数も少なく、区分は現状、通常のものと後述の『献上大吉』の2種類しか確認されていません。その差は『裏面のサインが大吉かそうでないか』のみなので、判別は簡単です。
そんな短期間かつ少数の鋳造である献上大吉は、品質を問わず通常版と比べて100万円以上の差がつきます。
以下が種類一覧となりますが、記載している価格は状態が非常に良い場合での参考買取価格になります。その点ご留意ください。
天保五両判 献上大吉(てんぽうごりょうばん けんじょうだいきち)
天保五両判は表面に5両を示す金額表示以外に、幕府公認の貨幣の証である『桐紋』が刻印されています。裏は素朴なつくりで中央の『後藤家の花押』、時代を示す『保』の字、左下に『職人の名前の一部』の3つの刻印のみです。
親方と職人の名前が『大吉』でそろっていることが大吉が彫られる理由だと上述しましたが、天保五両判 献上大吉の場合は少し違います。献上大吉は意図的に『大吉』と彫られているからです。
それもそのはず、献上判とはそもそも幕府に献上するための判金なのです。そのため、献上大吉は職人たちの名前にかかわらず、縁起をよくするために『大吉』と彫られていました。
またそのほかの特徴として、一般的に献上判は流通用の小判よりも丁寧に美しくつくられています。人の手に触れる機会が少ないぶん、現代まで残されたものでも、傷がなくきれいな状態のものが多いです。もし見つけたら高価格の取引が期待できるでしょう。
天保五両判の買取実績(実例)
2024年11月に『三宮店』にて天保五両判をお買い取りしました。上記画像がお買い取りした五両判の写真となります。
天保五両判は、当時の額面で天保小判の約5倍の価値がある大変希少な小判です。保存状態や裏面に刻まれた職人のサインの種類によっては、高額査定が期待できます。
今回お持ち込みいただいた五両判の裏面に刻まれた職人のサインは一般的なもので、『大』『吉』の組み合わせである『献上大吉』のような、飛び抜けてプレミアがつくものではありませんでした。
また側面には若干の傷や波打ちが見られました。
小判は、多少でも傷があったり曲がっていたりすると、高額買取が期待できる「美品状態である」とまでは言えなくなってしまいます。
こういった点を含めて総合的に査定し、90万円をご提示させていただきました。
なお、天保五両判の重量は約33gあり、2024年11月現在の金相場(1gあたり約1万4,000円)での素材価値の約2倍のお値段となります。これは古銭としての希少価値が考慮された結果です。
査定価格や買取価格は、品物の状態や金相場によって変動します。今回の実績やページ上部の買取価格は参考程度にお考えください。
今回の五両判には貨幣鑑定書は付属しておりませんでしたが、古銭類をお持ち込みの際、鑑定書があると、買取がスムーズに進むだけでなく、本物を証明するひとつの材料として重要な役割を果たします。
鑑定書が無い場合、買取が難しくなることもありますので、可能であれば鑑定書も一緒にお持ち込みいただくことをおすすめします。
もちろん鑑定書がなくても査定は可能ですので、「手持ちの古銭の価値が知りたい」という方は、まずは『無料査定のお申し込み』や『お電話(0120-9610-66/受付時間10:00~18:00)』までお気軽にご連絡ください!
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