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寛永通宝(かんえいつうほう)の買取価格

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本日の買取価格 [2024/10/06]

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寛永通宝(かんえいつうほう)について

名称 寛永通宝(かんえいつうほう)
発行国 日本
鋳造 時期: 寛永13年~幕末
質量 5g
直径 2.6mm
厚さ 1.0mm
材質 銅、鉄など
品位 (karat) -

寛永通宝(かんえいつうほう)は寛永13年(1636年)~幕末まで鋳造された貨幣です。

古銭円形、中心部に正方形の穴、表面には寛永通寳の文字が上下右左の順に刻印されているのが外観の特徴です。使用された材質は銅、鉄、精鉄、真鍮製と多種類あります。

寛永通宝の中で高額で取引されているのは『母銭』と呼ばれる子銭の原型です。広く流通していた子銭はほとんどの場合で価値が無く価格が付かない一方、母銭は鋳造地域や状態次第で数千円~数百万円程度の価格が付きます。

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母銭とは?

古銭には母銭と子銭(通用銭)の2種類があり、母銭は子銭を鋳造するための型となる古銭を指します。

母銭は広く流通していた子銭と違い、希少で残存枚数が少ないものとなっています。そのため市場に出回ることはほとんどないことからコレクターからの評価が高く、高額で取引されています。

母銭の特徴は子銭と比べ若干サイズが大きく、文字がはっきり浮き出ている点です。

寛永通宝の種類と価格

寛永通宝は江戸時代に流通していた貨幣で、発行当時は1文や4文で取引されていました。大判や小判の単価である1両を文で換算すると4,000文になります。

寛永通宝は現代でいうところの硬貨に似た使われ方をしていたため、庶民に広く流通しており、通常のものは現代でもほとんど価値が付きません。

しかし母銭や特定の地域のものは残存数が少ないことから、寛永通宝の中でも高い価値が付いています。

以下が種類一覧となりますが、記載している価格は状態が非常に良い場合での参考買取価格になります。その点ご留意ください。

日光御用銭(にっこうごようせん)

日光御用銭の表面と裏面
母銭の買取価格 200,000円~
子銭の買取価格 300,000円~

日光御用銭は一説によると、名前に日光とあるのは徳川家の日光参拝にともない鋳造されたからといわれていますが、明確な記録がないため正しいとはいえません。

書体は同時期に佐渡でつくられた正徳佐に似ているため、名前が異なるだけの同じ種類ではないかと推測されています。

しかし正徳佐と比べ、日光御用銭のほうが市場に出回りにくいので、違いがわかるならこちらを積極的に狙いたいところです。

また寛永通宝は基本的に母銭の方が価格が高い傾向がありますが、日光御用銭は母銭よりも子銭のほうが価格が高いという珍しいパターンの古銭です。

発行された数が多いはずの子銭の方が現存数が少ないため、母銭より10万円ほど高価で取引される場合もあります。

写真の古銭はコレクターが判別しやすいよう、後から赤墨で印を入れてしまったものです。基本的にこのように後から加筆された貨幣は、汚れている貨幣と同じ扱いで価格が下がってしまいます。

しかし日光御用銭は希少性が高いため、あまり価格が下がることなく取引されたケースもあります。

島屋文(しまやぶん)

備考 ※母銭無し
子銭の買取価格 200,000円~

島屋文は表面の『通』の字に唯一といわれる特徴があります。ほかの寛永通宝は、甬の頭の部分が『マ』に似た形ですが、島屋文は『ユ』に似た形なので見分けやすいです。

島屋は京都の鋳造場の地名ともいわれていますが、京都以外の鋳造場でつくられた記録が残っているため、名前の由来は今も解明されていません。

島屋文は多くの穴銭コレクターが探し求めるため、『永遠のテーマ』ともいわれる古銭です。

コレクター歴が短い人から長い人まで幅広い層からの需要があり、どれだけ高額でもすぐに買い手が見つかるほど人気の古銭です。

旧享保七条進永(きゅうきょうほうななじょうしんえい)

旧享保七条進永の表面と裏面
母銭の買取価格 10,000円~
子銭の買取価格 20円~

旧享保七条進永の名前にある進永は、『永』の字が右から左に進むようにして、前かがみのように左側に傾いていることが由来です。七条は京都の地名であり、この古銭は享保の時代に七条で作られたと言われていました。

ところが享保の前の時代である宝永4年の、宝永大噴火の後の火山灰の中から複数発見されたことにより、宝永時代から作られていたのではないかと推測されています。

本来は名前に『宝永』とつくはずですが、名称を変えずに『旧』の字をつけ、享保初鋳ではないことを表しました。

旧享保七条退永(きゅうきょうほうななじょうたいえい)

旧享保七条退永の表面と裏面
母銭の買取価格 25,000円~
子銭の買取価格 200円~

旧享保七条退永は進むように左に寄っている新永に対して、後ろから引っ張られるようにして、右側に寄っているつくりから退永と名づけられました。

新永も退永も刻印された文字が繊細で、全体的にシャープな印象を与えます。母銭のほうが黄色味が強く、子銭は全体的に銅特有の暗い赤褐色のため、比較的見分けやすいと言えるでしょう。

旧享保七条退永半刮去(きゅうきょうほうななじょうたいえいはんかっきょ)

旧享保七条退永半刮去の表面と裏面
母銭の買取価格 5,000円~
子銭の買取価格 100円~

京都七条で鋳造された旧享保七条退永半刮去ですが、この古銭は半分だけ刮去して鋳造されました。全体的に繊細な文字と、刮去された母銭を元に作られたことから、子銭は文字全体が薄くなっています。

刮去(かっきょ)とは削ることを意味します。幕府は資源節約のために、発行数の多い貨幣の素材を少しでも減らそうと考えました。

『寛』の字の『見』の下部の跳ねの部分が、同じ七条鋳造のものと比べ、半分ほど短くなっています。しかし実際には削られていないものと比べ、ほとんど差はありません。

旧享保十万坪広目寛(きゅうきょうほうじゅうまんつぼひろめかん)

旧享保十万坪広目寛の表面と裏面
母銭の買取価格 5,000円~
子銭の買取価格 20円~

旧享保十万坪広目寛は、寛永通宝の『寛』の字の『見』の下部の八に似た箇所の空白が大きく、広く離れているようなつくりです。その特徴から『広目寛』と呼ばれています。

十万坪は現在の東京都江東区千田付近の地名です。そこにあった鋳造場で作られた貨幣は『十万坪』と名前に地名が含まれています。

旧享保十万坪広目寛も旧七条の貨幣同様に、宝永大噴火後の火山灰の下から発見されたため、宝永時代に製造されたと考えられています。

和歌山虎ノ尾寛(わかやまとらのおかん)

和歌山虎ノ尾寛の表面と裏面
母銭の買取価格 40,000円~
子銭の買取価格 500円~

虎ノ尾寛はその名の通り、寛永通宝の『寛』の字の『見』の跳ねの部分が、まるで虎のしっぽのようにうねるデザインであることから名付けられました。

特徴的なデザインは表面だけであり、裏面には同様のデザインは見られません。

しかし虎ノ尾寛特有の、古銭の上に届くほど長く曲がりくねったデザインは貴重であるためコレクターからの評価が高いです。

また可愛らしい見た目もあり、女性のコレクターからの需要が多いと言われる古銭です。

享保十万坪高寛(きょうほうじゅうまんつぼたかかん)

享保十万坪高寛の表面と裏面
母銭の買取価格 4,000円~
子銭の買取価格 20円~

享保十万坪高寛は現代までに数多く発見されていますが、人気が高いため高価で取引されています。

しかし高価な方は母銭だけであり、子銭の方は残存数が多いため、他の寛永通宝より価値が低めです。

寛永通宝の『寛』の字の『見』の下部の足が高く、寛の文字が全体的に上側に圧縮されているようなデザインから、高寛と名づけられました。

元文退永全刮去(げんぶんたいえいぜんかっきょ)

元文退永全刮去の表面と裏面
母銭の買取価格 10,000円~
子銭の買取価格 100円~

元文退永全刮去は『寛』の『見』の跳ねの部分が削られており、半刮去よりもさらに跳ねが短い作りです。比較してみるとわかりますが、全刮去は跳ねがほとんどないくらいに削られています。

元文退永全刮去は幕府が銅を節約するために、母銭をあらかじめ削ったうえで、子銭が数多く作られました。

しかし半刮去同様に、鋳造枚数は多くても削られた部分が非常に少ないため、銅の節約の効果はなかったと言われています。

天狗寛永通用銭(てんぐかんえいつうようせん)

天狗寛永通用銭の表面と裏面
備考 ※母銭無し
子銭の買取価格 10,000円~

虎ノ尾寛のように奇抜なデザインであることから人気が高い寛永通宝が、天狗寛永通用銭です。

寛永通宝の『通』の上部、『コ』の上側の先端が、まるで天狗の鼻のように緩く上を向いているため、この名前がつけられました。

これは鋳造の際にゴミが入ったせいだと言われており、その性質上数が少なくレアな部類の寛永通宝となります。

また天狗寛永通用銭ほどではありませんが、天狗の鼻の部分にあたる箇所が少しだけ上を向いている状態の、いわば"小天狗"といえるようなものもあります。

どちらも天狗の鼻に見えるデザインのものですが、やはり大きく上部に向いている方が価値は高いです。

なお名称に通用銭とありますが、この古銭には母銭がないと言われています。しかし通用銭にも関わらず母銭と同等の価値がある古銭です。

奇抜なデザインと希少性から、多くのコレクターから需要のある古銭の一種です。

細字背文(さいじはいぶん)

細字背文の表面と裏面
母銭の買取価格 15,000円~
子銭の買取価格 10円~

細字背文はその名の通り、細い文字で刻印されている寛永通宝です。

文字の細さは遠くから見ると文字がぼやけて見えなくなるほど、繊細なつくりとなっています。しかし文字そのものは達筆の分類に入るほど、跳ねや払いに鋭さが感じられるデザインです。

母銭と子銭いずれも白銅で作られたものがあり、それらはより残存数が少ないぶん、高価で取引されています。

明和正字(めいわせいじ)

明和正字の表面と裏面
母銭の買取価格 25,000円~
子銭の買取価格 20円~

全体的に黒く塗られたように見えますが、明和正字は銅でつくられています。明和より後の時代の文政にも見た目がそっくりな古銭がいくつかありますが、文政の銅は赤っぽく、明和の銅は黄土色です。

一概にはいえませんが、材質の色を見ることで簡単に時代の違いを判別できます。

画像のものは傷や欠損が少なくきれいな状態ですが、明和正字は残存数が多いため、プレミア価格は付きにくいです。

明和俯永(めいわふえい)

明和俯永の表面と裏面
母銭の買取価格 20,000円~
子銭の買取価格 20円~

明和俯永の俯永は、『永』の字の縦の線がうつむくように傾いていることから名付けられました。縦に二分割して見ると、若干『永』の字全体が、うつむくように左に傾いていることがわかります。

同じ明和時代につくられた明和正字と比較すると、明和俯永のほうが全体の文字が横に広げられたように大きいですね。

江刺銭(えさしせん)

江刺銭の表面と裏面
母銭の買取価格 8,000円~
子銭の買取価格 3,000円~

江刺は岩手県奥州市内の地名です。江刺銭は貨幣の流通を増やす目的で、江刺で独自につくられた古銭です。見た目も字のデザインも、明和正字に非常に似ていますが、それには理由があります。

じつは写真の江刺銭は、明和正字の子銭を元にしてつくられているのです。このように別の古銭を母銭にしてつくった古銭は『写し』と呼ばれます。

江刺銭はさまざまな子銭を写してつくられています。ほかにも明和俯永や明和短尾寛の写しも存在していますが、どれも残存数が少ないので希少価値が高いです。

仙台石ノ巻銭 爪千(せんだいいしのまきせん つめせん)

母銭の買取価格 2,000円~
子銭の買取価格 10円~

仙台石ノ巻銭は石ノ巻ではじめてつくられた貨幣です。石ノ巻は宮城県の市の地名で、現在も読み方は同じですが表記は石巻に変化しています。

石ノ巻銭は裏面の上部に、仙台で鋳造したことを示す『仙』の文字が刻まれています。またなかには裏に仙の文字がない石ノ巻銭もあります。

しかし画像の石ノ巻銭の裏面には『千』と刻まれています。鋳造当時の仙台は『仙』の字が『千』で、せんだいと読まれていました。

千の文字でも偽物ではないので気をつけましょう。

さらに裏面の千の字の一画目も見分ける特徴があります。千の一画目が上に向かいはねているような書体です。

この形が千から爪が生えているように見えるため、『爪千』と名づけられました。

水戸仰宝(みとぎょうほう)

水戸仰宝の表面と裏面
母銭の買取価格 10,000円~
子銭の買取価格 1,000円~

水戸仰宝は水戸でつくられた古銭です。水戸で鋳造された古銭はいくつかありますが、これは銅の色が黄色がかっています。

見た目の特徴も、仰宝ではない古銭とくらべると、その違いは明らかです。まずは『寶』の字に注目してください。

文字の全体が左上に詰まっているように見えますね。さらにいうと、『寶』の字だけ中心の穴から離れています。

仰ぐには上を見上げるという意味もあります。見上げる所作は、顔が上を向き重心が偏ります。仰宝は『寶』の字が頭(上部)に寄り、重心が傾いていることから名付けられました。

盛岡仰宝(もりおかぎょうほう)

盛岡仰宝の表面と裏面
母銭の買取価格 5,000円~
子銭の買取価格 50円~

盛岡仰宝の盛岡は現在の岩手県盛岡市あたりの地名を指しています。仰宝の特徴は同じですが、水戸仰宝と比べこちらは銅の赤みが目立ちます。

公式の鋳造場と認められていた水戸と違い、盛岡仰宝は盛岡だけで流通するために秘密裏に鋳造した古銭といわれています。

このように特定の地域で勝手に古銭をつくってしまうことを、『密鋳(みっちゅう)』と呼びます。限られた地域だけで流通していたため、母銭の有無や写しであったかなど、謎が多いことも密鋳の特徴です。

少ない発行枚数とは裏腹に、母銭であってもそれほど高額ではありません。

盛岡仰宝 米字極印(もりおかぎょうほう よねじこくいん)

盛岡仰宝 米字極印の表面と裏面
母銭の買取価格 15,000円~
子銭の買取価格 1,000円~

盛岡仰宝 米字極印は表面に米字が刻印されています。米沢領は現在の山形県米沢市あたりの土地の名称です。

寛永通宝のそれぞれの漢字のそばにある、クローバーのようなくぼみと、裏面の上下にある同じ形をしたくぼみ、合計6個のくぼみが『米字極印』です。

極印とは幕府公認を示す『本物の貨幣』につけられる刻印のことです。刻印がないと商人から受け取りを拒否されるほど、重大な意味を持つ印です。

なぜ密鋳盛岡仰宝に極印があるものとないものが存在するかはいまだ不明です。しかし盛岡仰宝でも米字があるものは発行数がかなり少ないので、プレミア価値が高いです。

下田極印(しもたこくいん)

下田極印の表面と裏面
備考 ※母銭無し
子銭の買取価格 2,000円~

幕末になり時代が明治へ変わる最中に、この下田極印はつくられました。下田は静岡県伊豆半島の南東部に位置する地名です。

幕末では時代の変化にともない、従来の貨幣価値や物価が大きく変わりました。

そんななか、下田に住む人々は新たな貨幣価値の変化を受け入れられずに、自分たちで独自の貨幣制度を決めて生活していたといわれています。そうして下田の住民がつくった寛永通宝が下田極印です。

下田だけで流用する証として、表面の上部に『下』の字、下部にシモタの『タ』の字が刻印されています。

技術力が低く出来もあまり良くありませんが、コレクターからの需要は高く、子銭でも高価です。

南部防鋳(なんぶぼうちゅう)

南部防鋳の表面と裏面
母銭の買取価格 2,000円~
子銭の買取価格 20円~

名前からの想像が難しいですが、防鋳とは偽金のことを指しています。密鋳と意味はほとんど同じです。当時の言い方か、現代の言い方かの違いともいえます。

南部は南部鉄器で有名である、現在の岩手県の地名です。南部防鋳は幕府の許可なくつくられただけでなく、南部以外の地域でも広く使われていました。

極印はありませんが、見た目は幕府公式の鋳造場の寛永通宝と同じです。しかし基本的に寛永通宝は銅や錫でつくられますが、南部防鋳の素材は鉄です。

銅や錫は磁石に付きませんが、鉄は磁石に付きます。磁石さえあればすぐに鉄製の南部防鋳を見分けることができるため、判別は簡単にできます。

文政小字(ぶんせいしょうじ)

文政小字の表面と裏面
母銭の買取価格 10,000円~
子銭の買取価格 2,000円~

文政小字は文政時代につくられ、文字全体が圧縮されたように小さいといった特徴があります。

前の時代である明和につくられた明和小字とデザインは似ていますが、文政小字とは銅の色が赤いので見分けやすいです。

明和期、文政期、安政期と時代が異なるにもかかわらず、この3つの時代の寛永通宝はとてもよく似ています。

さまざまな条件で分類されていますが、文政期につくられ安政期に加工されたなど、複雑な過程を挟んだものは、分別が非常に難しいです。

そのためたとえば同じ小字でも、明和につくられたか、後の時代に加工されたものかで価格が変わってしまいます。

しかしつくられた条件によっては、子銭でも2,000円とかなり高額で取引されるので、コレクターからの需要が高いことがわかります。

水戸狭永 鋳放(みときょうえい いはなし)

水戸狭永 鋳放の表面と裏面
母銭の買取価格 10,000円~
子銭の買取価格 20円~

狭永とは、『永』の字がすぼまって見える状態のことを指します。永の文字の中心に、引き寄せられているような見た目をしています。

また鋳放とは、鋳造された古銭をやすりがけなどをせずに、型から出しただけの状態の古銭です。

外見があまりきれいではないことから、価値が低いと感じるかもしれませんが、鋳放は現代でいうところのエラー品にあたります。

そのためコレクターからの需要が高く価格も高いです。

会津細ノ(あいづほその)

会津細ノの表面と裏面
母銭の買取価格 48,000円~
子銭の買取価格 100円~

会津細ノは会津藩でつくられ、裏面の『ノ』の書体が細いといった特徴があります。会津藩とは江戸の深川を藩で呼んだ時の名称です。

母銭の素材は銅で、子銭の素材は鉄なので、母銭か子銭かの判断は簡単です。会津藩でつくられた寛永通宝は発行枚数が少ないので、会津細ノはほかの寛永通宝の母銭よりプレミア価値が高いです。

裏面の上に『ノ』の文字が彫られていますが、これは会津でつくられた寛永通宝を表す印です。

本来は会津をカタカナにした時の『ア』を刻印するはずですが、すでに広島の安芸藩(あきはん)の印にアの文字が使われていました。

印がかぶらないよう、会津藩はアの上部を取り、『ノ』の字を藩の印にしたという説が現在もっとも有力です。

細ノは文字通り、裏面の『ノ』の書体が細いことから名付けられました。しかし細ノ同様に会津でつくられた太ノと比べることで、はじめて細いとわかるほど、会津藩の寛永通宝は見極めが難しいです。

長尾寛(ちょうびかん)

長尾寛の表面と裏面
母銭の買取価格 -円
子銭の買取価格 5,000円~

長尾寛は、表面の『寛』の字の見の跳ねが長いことが特徴です。多くの寛永通宝はこの跳ねが文字の半分以下ですが、長尾寛は文字の半分に届くほど跳ねています。

しかしコレクターであっても、1枚しかない状態で長尾寛と判断するのは難しいです。また長尾寛は鋳造の際に、長い跳ねの部分がつくりにくいといった理由から鋳造期間が短い寛永通宝です。

短尾寛(たんびかん)

短尾寛の表面と裏面
母銭の買取価格 -円
子銭の買取価格 ~10円

短尾寛は長尾寛とは反対に、表面の『寛』の字の見の跳ねが極端に短いつくりが特徴です。

遠くから見ると跳ねの部分がないと思うほど跳ねが短いので、古銭に詳しくなくても比較的簡単に見分けることができるでしょう。

文政離用通面背刔輪(ぶんせいりようつうめんはいきょうりん)

文政離用通面背刔輪の表面と裏面
母銭の買取価格 -円
子銭の買取価格 50,000円~

文政離用通面背刔輪は文政時代につくられた、離用通と面背刔輪の特徴をもつ寛永通宝です。

離用通とは表面の『通』のしんにょうと甬の間に空間がある特徴のことです。空間といっても両方の漢字が少し離れている程度の差でしかなく、そのほかも「通」の字の"マ"部分が斜めになっている、くらいの違いがないため、傍目で見分けることは難しいでしょう。

一方で面背刔輪のほうはわかりやすい特徴といえます。面背刔輪とは、裏面の波模様が寛永通宝の周りの枠にくっついていない状態を指します。

刔は削ることを意味し、鋳造後に寛永通宝の周りの枠(輪)につかないように、波模様の端を削ったつくりかたが、そのまま名称につかわれています。

裏面を見れば周りの枠と波模様に隙間があるため、すぐに判断できるでしょう。

島屋文小頭通(しまやぶんしょうとうつう)

島屋文小頭通の表面と裏面
母銭の買取価格 -円
子銭の買取価格 200,000円

島屋文小頭通の特徴は、『甬』の字の頭の『ユ』が、島屋文のなかでも一回り小さいことにあります。

後述するその他の島屋文が大文字のユであるなら、島屋文小頭通は小文字のユと覚えておくと判別も楽です。

しかし並べるとわかりやすい程度の大きさなので、一枚だけの状況で見分けることは難しいです。

ちなみに、この特徴を持ついわゆる「ユ頭通」は、コの字の「コ頭通」に比べ出回った数が少なく、かつ島屋文の区分に入る寛永通宝の多くはユ頭通となっています。

これは当初作りはじめた際の型はユ頭通であったものの、当時の鋳造技術ではユの字を再現することが難しく、形が変化していったことに起因しています。

そのため作りやすいコ頭通がメジャーになり、ユ頭通は製造を打ち切られて貴重になっていった……という経緯があるのです。

島屋無背(しまやむはい)

島屋無背の表面と裏面
母銭の買取価格 -円
子銭の買取価格 5,000円~

一般的な島屋文は裏面に『文』の字がありますが、この島屋無背にはそれが彫られていません。この理由には諸説あります。

ひとつは、銅不足や資金難等を理由とする銅の節約です。

もうひとつは、作られた時代の名称に由来します。

本来『文』の字は、島屋文がつくられていた『寛"文"』時代を示すためのものです。しかし島屋無背がつくられた『延宝』時代には、文の文字が用いられていません。

そこで銭座は、寛文期につくった島屋文の裏面を急遽削り、いくつかの島屋文を無背に作り直した……というのが、この説による島屋無背の成り立ちです。

"島屋文"という名前自体への由来も含め、今も謎が多いのが島屋文、ひいては島屋無背の魅力かもしれません。

島屋無背と島屋文の違いは、裏面以外ほとんどありません。しかし島屋無背のほうが全体の文字が深く彫られているので、そこに注意すれば表面で見分けることは可能です。

島屋直宝(しまやちょくほう)

島屋直宝の表面と裏面
母銭の買取価格 -円
子銭の買取価格 80,000円~

島屋直宝も島屋無背同様に、裏面に『文』の文字がありません。しかし島屋文や島屋無背よりも全体の文字の彫りが浅く、島屋直宝は特に文字が薄れているように見えます。

さらに『寶』の字の右下の点が、丸みを帯びて膨らんでいるような見た目をしています。これは島屋直宝だけの特徴です。

また寶の字が直立したように見える特徴もありますが、寶の字の特徴はほかの寛永通宝と並べて見比べないと判別が難しいです。

ほかには、島屋文の中では少々珍しいコ頭通であることも、島屋直宝特有の部分だと考えられます。

島屋直宝は島屋文のなかで特に人気の一品で、現存数が少ないことからかなり高額で取引されています。

島屋正字背文陰起文(しまやせいじはいぶんいんきぶん)

島屋正字背文陰起文の表面と裏面
母銭の買取価格 ~20,000円
子銭の買取価格 50円~

島屋正字背文陰起文は、『正字』と『陰起文』というふたつの特徴がある寛永通宝です。

正字とは、表面の文字は太さや細かさがわかりやすい書体のことで、古銭に描かれているにもかかわらず、墨で書いたような勢いが感じられます。

これは基本銭と呼ばれるほど多くの寛永通宝で見られる特徴です。

そして陰起文とは、文字の一部が欠けているような弱弱しい書体のことを指します。

上記のふたつの特徴が組み合わさったことにより、一文字のなかに勢いと弱弱しさが読み取れる特徴が産み出されました。

正反対の書体の特徴が混ざった、独特の魅力が感じられる寛永通宝です。

細字狭文(さいじきょうぶん)

細字狭文の表面と裏面
母銭の買取価格 ~20,000円
子銭の買取価格 30円~

細字狭文は細字系統の寛永通宝のなかでも、さらに文字が繊細であることが特徴です。また裏面の『文』の上下の隙間がほかの島屋文より狭いという違いもあります。

それぞれに違いはありますが、細字にわけられる島屋文はコレクターでも見分けることが困難です。細字狭文も同じ島屋文である細字小文と非常につくりが似ています。

裏面の文の空白が狭いか、文字が小さいかで判別されていますが、あまりにも細かな違いであるため、古銭に詳しくないと見分けられないでしょう。

幻足寛(げんそくかん)

幻足寛の表面と裏面
母銭の買取価格 -円
子銭の買取価格 50,000円~

幻足寛は寛の字の下部に特徴が表れています。最後の画のはらいに注目してください。

上に跳ねた直後の部分が消えかかっている、またはかなり薄れています。しかしよく見るとほかの寛永通宝同様に、寛の文字がしっかりと跳ねまで表現されていることがわかります。

幻足寛はこのように、最後の画=足が幻のように薄れていることから名付けられました。

残存している数が少ないので、高額買取が期待できます。

なお、上記の写真にあるものは「未仕上げ」と呼ばれる、型から切り取ってやすりがけをする、という作業が行われていないものとなります。右下のバリのような部分はこの特徴の現れです。

正字入文(せいじいりぶん)

正字入文の表面と裏面
母銭の買取価格 -円
子銭の買取価格 ~50円

正字入文は、表面は字面の通り正字となっています。しかし裏面の文の字に大きな違いがあります。

入文、という名前の通り、文の三画目が四画目とほとんど重なる、『入』の字によく似た形状となっているのです。裏面に同じ文の文字があるほかの島屋文と見比べると、かなりわかりやすいでしょう。

正字入文以外は、二画目と三画目がくっつくほど近く、三画目と四画目の形が『メ』に似ています。比較的わかりやすい特徴なので、古銭に詳しくなくても見分けやすいでしょう。

縮字欠叉文(しゅくじけっせいぶん)

縮字欠叉文の表面と裏面
備考 ※母銭無し
子銭の買取価格 ~4,000円

縮字欠叉文は表面に縮字の特徴があるほか、裏面の『文』が欠けている特徴をもつ寛永通宝です。

縮字とは文字が圧縮されたような特徴のことで、部首とそれ以外の部分の空白が狭く、密集しています。

また裏面についても、文の三画目と四画目が"ひとやね(会の字の上の部分)"という部首に近い書体になっている、欠けた形状となっています。欠叉文以外の寛永通宝は、三画目と四画目がしっかりと交差しています。

縮字欠叉文の裏面は遠目から見ると、『大』の字と間違えるほど二画目と三画目と四画目の隙間が狭いです。これは判別する際に、一番わかりやすい特徴でもあります。

退点文(たいてんぶん)

縮字欠叉文の表面と裏面
備考 ※母銭無し
子銭の買取価格 100円~

退点文は表面の通の字のしんにょう(之)が特徴的な寛永通宝です。

しんにょうの上部の点に着目してください。点とその下の部分の距離が非常に近いです。

ほかの寛永通宝に比べ、しんにょうの点が下側に退くように下がっていることから、退点と名づけられました。また裏面も一画目の点が、二画目へ下がるように近い場所に彫られています。

そのほか、『寛』の字の"見"部分がほかのものより若干開き気味であったり、フォントの横幅が広く、どっしりした印象である、といった特徴もあります。

しかしいずれの特徴も1枚だけで見分けることが難しく、並べて見るとわかる程度の差です。

横点文(よこてんぶん)

母銭の買取価格 -円
子銭の買取価格 -円

裏面の『文』の字、その一画目の点が真横になっている珍しいものは横点文と呼ばれています。

点が真横に倒れており、二画目の横線と全く重ならないような字体をしているのが特徴です。

コレクターの間でも出回ることが少ない、貴重な種類です。

太一文(ふといちぶん)

母銭の買取価格 -円
子銭の買取価格 -円

こちらは『文』の字の二画目が太い、力強いような印象を受ける寛永通宝です。

たまたま母銭の字体を太めに作ってしまった、という成り立ちで、やはり太一文も珍しく市場に出回りづらいといえるでしょう。

水戸本所小梅(みとほんじょこうめ)

水戸本所小梅の表面と裏面
母銭の買取価格 -円
子銭の買取価格 -円

水戸本所小梅は、水戸藩本所小梅村にある藩屛(はんぺい)内の、銭座でつくられた銭貨です。表面に書かれた寛永通宝の『宝』の間隔が他の種類と比べて短いことから、『短宝(たんぽう)』とも呼ばれています。

古銭の中には幕府に許可なく藩が密かに鋳造した『密鋳銭』が存在しますが、御三家である水戸藩は幕府から許可をもらっているため、密鋳銭に該当しません。

水戸本所小梅の中には『浅字(あさじ)』と呼ばれるものがあり、他の貨幣と比べて字の間隔が浅いのが特徴です。また、『永』の字が右に傾いているものを『仰永(ぎょうえい)』と呼びます。

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