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個人でできるデフレ対策は貯金よりも金投資? 非貴金属との違いも解説

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日本は長年、デフレと呼ばれる現象に悩まされてきました。
インフレになると物価が上昇し、通貨の価値が下がるからです。
それとは反対に、デフレでは物価が下がることで通貨の価値が上がります。

インフレとデフレは経済や家計に大きな影響を与える現象です。
デフレになると、消費者は物を買うのを控えて貯金をする傾向にあります。
しかし貯金は安全性が高いことがメリットですが、利回りが低いというデメリットがあります。
貯金の利息が物価の下落率よりも低いと実質的に資産が減ってしまうからです。

では貯金以外でデフレ時に資産を増やすためにはどうすればいいのでしょうか。
一般的には、物価上昇時に価値が上がる現物資産に投資して損失をしないよう、事前に対策します。
そんな価値が上がる現物資産の代表が貴金属なのです。

デフレ時に貯金よりも貴金属投資が有効な理由や、貴金属と非金属の違いについて解説します。
自身の資産形成を考えている方も、デフレ時に有利な投資を知りたい方もご一読ください。

1. 非貴金属とは?貴金属との違い

貴金属とは希少性が高い金属のことです。
採掘量が少なく、市場に出回りにくく、かつ価値が高い金属が当てはまります。
有名なものだと金や銀でしょうか。

ほかにも鏡のコーティングに使われるロジウムや、万年筆の先端部分に使用されるルテニウムなど。
合計8種類が該当し、どれもさびにくく加工しやすい特徴があります。
あまり聞きなじみがない金属でもレアメタルで、人々の生活を支えているのです。

一方非金属とは貴金属ではない金属のことを指します。
『貴』金属に対して『卑』貴金属ともいわれています。
おもに鉄やアルミニウム、ニッケルなどが該当し、こちらもまた生活に欠かせない金属です。

■ 非貴金属で投資はできるのか

名称が異なっても非貴金属でも貴金属投資のように投資ができます。
しかし証券会社などによっては貴金属投資よりも金融商品が少なく、投資の選択が狭まってしまいます。

たとえば銅の取引は金の取引の3分の1程度です。
そのため非鉄ETFは売り手や買い手が見つからない日もあります。
非貴金属を売りたいときにそもそも売れなかったなんてこともありえます。

非貴金属投資の代表的な投資方法は以下のとおりです。
(1) 先物取引
(2) 株式やETF

(1) 先物取引

先物取引とは、ある商品の売買価格と期日をあらかじめ決めておいて、その商品を先に購入する契約のことです。
先物取引で利益を出したい時、価格が上がると思ったら買う契約をし、下がると思ったら売る契約をすることで利益を出せる仕組みです。

なお期日までに価格が変わらなかった場合は、利益も損失もなく手数料だけを払うことになります。
価格の変動によって大きな利益を得られますが、逆に大きな損失になることもあります。
たとえば過去に銅の価格は1ヶ月で40%も上下することがありました。
これは為替の変動よりもはるかに大きい数値です。

金属のように需要と供給が安定せずに流動性のある商品だと、波が大きくなった時にうまく売ることができれば、少額で大きな利益につながります。
しかし非貴金属の投資は株や債券のように利息や配当がもらえません。
投資して儲けるためには価格が上がるのを待って売る方法に限定されてしまいます。

(2) 株式やETF

非貴金属そのものでなくても、非貴金属に関係する会社の株式を購入することや、上場投資信託(ETF)を行うことも投資の一種です。
非貴金属に関係する会社には、非貴金属の採掘や加工を行う会社も含まれます。
実物ではありませんが、間接的に非貴金属へ投資できる方法です。

株式相場や貴金属の市況は投資マネーの影響を受けやすい特徴があります。
非貴金属の価格は世界の経済成長や需要と供給のバランスによって変動します。
非貴金属は電気や車などの製品に使われるため、世界の経済が活発になると需要が増えるからです。

ただし貴金属の株式やETF投資は、投資の収益や価値が貴金属の価格だけでなく、会社の業績や市場の状況にも影響されます。
非貴金属に関連する企業ですので、結局は金属以外の会社の株式投資と変わりません。
非貴金属の価格が上昇しても、経営が破綻してしまえば株の価値はなくなってしまいます。

しかし注目すべきは実物投資では受け取れないメリットがある点です。
株式であれば実物投資にない分配金を利益として受け取れます。
貴金属投資が不安な投資初心者や、先物取引よりもリスクが低いので、金属への投資を考えているのであればおすすめの手段です。

2. デフレとはなにか 貴金属投資との関係性

貴金属と非貴金属の違い、そして投資の活用方法について解説しました。
一方でデフレになることで貴金属投資にはどういった影響がでるのでしょうか。

そもそもデフレは略式で正式名称は『デフレーション』といいます。
これは物(物品やサービス)の価値が下がり、その代わりにお金の価値が上がる現象のことです。

たとえば今まで100円で買っていたパンが、デフレになると値下げされ80円で買えるようになります。
一見物価が下がりデメリットがないように思えますが、実は生活に大きな影響を与えてしまいます。

デフレの際に売り切れなかった商品が大量にあったとします。
すると少しでも損失を減らすために、販売価格をさらに値下げして売るようになります。
物を安く売ることで物自体はたくさん売れますが、企業からすると倍以上売っても値下げ前と同じか届かない金額の儲けしか得られません。

そうすると企業は従業員の給料を減らしたり、解雇する流れが活発になります。
多くの企業が従業員を解雇されることで、結果的に消費者の収入を減らし、安くても物が買えない状況に陥ります。

お金が無ければ消費者は買い物を控えるようになります。
現金を使うより貯金に回すようになるのです。
デフレになると、物価は安くなるものの消費者は買い物を控え、企業は収益が減り、失業者が増えるという悪循環をつくってしまいます。

■ デフレになると資産はどうなる?

こうした悪循環は個人の資産へどういった影響を与えるのでしょうか。
結論から申しますと、悪循環に陥っても一部の資産の価値が上がります。

もちろんそれぞれの資産の種類により影響も異なります。
一般的に現金や預貯金、債券などの固定金利の資産は価値が上がり、株式や不動産などの変動金利の資産は価値が下がりやすい傾向があります。

現金や預金は上記のとおり、デフレ前よりも同じ金額でたくさんの物が買えるので価値が上がります。
預金が多ければ多いほど買えるものも増えるので、比例して価値が高くなると覚えておきましょう。
また債券は現金と形態は異なりますが、あらかじめ返還される元本の金額が決まっていて、さらにデフレ時の金利の低下の影響も受けるので、全体を合わせると価値が高くなります。

反対に株式はデフレになると企業の売り上げや利益が減少することが多いため、下落しやすいと言われています。
しかしデフレ下であっても低価格帯の商材を扱う企業や、海外市場に強い企業は影響を受けないので株価上昇の可能性が高いです。
このように株式のなかでも下がるものと上がるものが分かれるので、扱う商材も詳細まで確認しておきましょう。

そして不動産の方はというと、デフレが進むと消費が減るので需要も減ります。
需要が減ることですでに持っている分の売却価格も低くなってしまいます。
不動産は株式のように価値が上がる例外はなく、全体的に価値が下がる資産ですが、東京都のような人口が多く交通や商業の便が良いエリアの不動産であれば、価値の低下は緩やかにはなります。

■ デフレは対策できる

デフレは資産や所得に悪影響を及ぼすことがわかりましたね。 じつはデフレ対策は個人でもできるのです。 「悪循環に備えておきたい」 「デフレ下でも資産を守りたい」 デフレが資産価値に与える影響を理解したことで、このように考える方もいるでしょう。 対策を施しておけば、デフレ時でも多くの利益を出すことも可能です。 詳細は前述の資産の特徴とあわせてみていきましょう。

デフレ対策(1) 現金を貯金する

デフレ時にはお金の価値が上がるため、現金の貯蓄や預貯金が個人でできる一番簡単な対策です。
ただし貯蓄はデフレを解消することには貢献しません。
そしてインフレに転じた場合には、現金や預貯金の価値は下がるため注意が必要です。
またデフレ時は金利が下がるため、貯金による利息がないことはデメリットのひとつになります。

デフレ対策(2) 実物資産に投資する

実物資産とは不動産、貴金属、美術品など形があり目に見える資産のことです。
実物資産は物ではありますが物価が下がる影響を受けず、デフレ時に価値を保つかあるいは上昇する可能性があります。
そのため実物資産に投資することは資産の価値を守る対策のひとつにもなるのです。

ただし実物資産は保有を続けるためには厳重な保管などのコストがかかります。
物である以上、傷がついてしまうことで価値が下がってしまうからです。
また流動性が低いため、必要に応じて売却することが難しい場合があります。

デフレ対策(3) 資産を分散する

デフレの対策には現金や預貯金に加えて、デフレに強い資産に分散投資することがおすすめです。
分散投資をすることで、ひとつの資産が下落しても、他の資産が上昇する可能性があり資産の安定性を高められます。

ただし資産を分散する場合は、各資産の特性や相関性を理解する必要があります。
また分散投資は資産の価値が上昇することを保証するものではありません。
リスクを減らすための対策なのでそのつもりで計画しましょう。

3. デフレ時のマイナス金利は貴金属投資を増やす?

デフレ時の資産の部分で金利について触れましたが、貴金属投資と金利にはどのような関係性があるのでしょうか。

まずマイナス金利について説明します。
マイナス金利とは中央銀行が金融機関にマイナス金利を適用する政策のことです。
投資でも銀行口座に貯蓄していても金利が発生します。

たとえば企業が銀行からお金を借りた時、金利が高いほど返済する金額も高くなります。
企業は設備費や起業のためにお金を借りますが、金利が高いと借りる金額も減らそうと動きます。

銀行は利益を出すなら、多くの企業から多くのお金を借りてもらう方が都合が良いです。
デフレ時は貯蓄に回るとはいえ、貯蓄の金利よりも企業への貸し出しの方が利益は多いです。

そこでデフレ時のマイナス金利政策です。
マイナス金利で0%未満の金利を指定し、金融機関へ融資や投資でお金を使う事を促して、経済の活性化を目指します。

過去に日本でもナイナス金利を実行していて、2016年1月に日銀(日本銀行)がマイナス金利政策を導入しました。
日銀のマイナス金利政策では、金融機関が持つ日銀の当座預金の一部に-0.1%の金利が適用されました。
物価が下がるデフレ時には、企業が経営不振とならないようマイナス金利が推し進められます。

現金ではない貴金属投資とマイナス金利は、一見つながりがないように思えますが、じつは深い関係があります。
金は世界で価値が共通で高い価値が認められている資産です。
そのため経済や政治が不安定なときには、お金を金に変えて安全に保管しようとする人が多くなります。

日銀がマイナス金利という政策をはじめると、銀行にお金を預けるよりも金に変えておいたほうが後々利益が出ると投資家は考えます。
現金はデフレだけでなくインフレなどで、大幅な価格変動が起こります。

現金の価格変動や、過去に戦争や災害などで、国が銀行のお金を使えなくした経験を持つ高齢者の中には、安定した価値を持つ金に信頼を置いている方も多いのです。

このようにして金の需要が増えれば金の価格も上がるため、マイナス金利は金相場上昇の要因ともいえます。
金は金利と逆相関の関係にあるのです。

■ 金は世界中で必要とされる資産

金はデフレに強いといわれる資産です。 現金はデフレが解消されれば価値が元にもどってしまいますが、金は供給量が少ないため価値は安定して高いままです。

金はリーマンショックや東日本大震災などの経済状況が落ち込んだ時にも上昇傾向にありました。
最近では2020年7月にコロナショックといわれる世界的な不況により、40年ぶりに最高値を更新しました。

金はどこの国でも価値があるため国際的な通貨として便利でした。
貴金属は紙幣のようにいくらでも作れるものではないため、物価の変動に対して価値が比較的安定しています。

また金は採掘することでしか供給をまかなえない資源です。
古代から人々の生活とともにあった資産ですが、需要の多さに対して採掘量に限りがあるため価値が上がることが約束されている資産でもあるのです。

金の価値が世界で認められている例として、ある組織の存在が挙げられます。
世界にはIMF(国際通貨基金)という組織があります。
IMFは国際的なお金の問題を解決するために作られた組織です。
2024年現在、IMFには190か国が加盟しており日本もそのなかのひとつです。

IMFの加盟国は自分の国の通貨だけでなく、外貨や金も持っていなければなりません。
これは『準備資産』と呼ばれます。

準備資産は国の信用や安全を守るために必要なものです。
もし国が借金を返せなかったり、テロや戦争が起きたりした場合に、準備資産を使って問題を解決します。
準備資産の中にある金は『金準備』と呼ばれます。

金準備は世界中で同じ価値があるので、どんな国とも交換できるとても便利なものです。

しかし金は不動産や株のように運用による利益を生み出すことはできません。
金の利益が発生するのは売却時のみのため、有事に備える資産として活用しましょう。

4. 貴金属投資はデフレだけでなくインフレ対策にも

デフレで現金の価値が高いからと、お金を貯めるだけではインフレによって価値が下がってしまうかもしれません。
デフレとインフレ、両方の対策を取るなら実物資産に投資することがおすすめです。

実物資産はインフレにも強く、貴金属、エネルギー資源、農産物などがあります。
実物資産の中でも貴金属は、前述のとおり世界中で需要があるため価値が安定しています。
これは貴金属が普遍的な価値を持ち、無価値になることがないからです。

一方デフレの時に価値が下がる傾向にある株式は、インフレ時には価値が上がります。
仕組みは単純で、インフレ時は物価が上がることで自社の製品を高値で売ることができます。
生活必需品など消費者が購入しない選択がしにくい商品を扱っているほど、企業の利益が増えるのです。
しかしデフレ同様に、インフレ時にも商品の価格を上げられないなどの理由で、株価が上がらない企業もあるため確認が必要です。

そして不動産も土地の価格が高くなることや、家賃の値上げができるので、価値が上がる資産です。
このようにデフレで不利だった資産の価値が上がることもあり、デフレとインフレは予測できるものではないため、それぞれのことを考慮して分散投資先を選ぶ必要があります。

貴金属投資ならインフレ対策だけでなく、リスク分散や資産形成にも適切です。
これは貴金属が株式や為替とは異なる値動きをする傾向があるためです。
またインフレでもデフレでも比較的価格が安定しています。

しかし貴金属の価格はずっと安定しているものではないため、変動の可能性も考え、注意深く情報を収集し判断しましょう。

金は安定した価値がありますが、株式のように運用している時に分配金が利益として得られません。
資産そのものを売ることでしか利益を出せないデメリットもあります。
デフレでもインフレでも金は資産の価値が高く優秀な資産であるため、資産運用をはじめたい人は手軽な金貨からはじめてみても良いかもしれませんね。

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