安政小判(あんせいこばん)は安政6年(1859年)に発行された小判です。
この時期、アメリカは日本と自由に貿易ができるよう、通商条約の締結を幕府へ求めました。幕府はその後条約を結ぶことを決め、歴史的に有名な『日米修好通商条約』が交わされたのです。
しかしこの条約は日本に不平等なもので、当時のアメリカの銀貨1枚は、日本の銀貨3枚分の価値でした。
さらにその銀貨を小判に両替することで、本来の両替よりも安く金貨に交換できる事態にまで陥ってしまったのです。
そこで幕府はこの事態を解決するために、純度は今まで流通していた小判と同じようにし、重さが軽い小判をつくりました。それが安政小判です。
重さを基準とし、両替をしていた江戸時代において当然ながら安政小判はアメリカの貿易商から不評であり、わずか3カ月ばかりで発行が終了したといわれています。
表面は他の小判と同じく扇の中に桐の紋が彫られており、裏面の右上には『正』の字が刻まれています。
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プレミア価値を持つ『大吉』とは?
当時、判金はひとつずつ手作りだったので、完成時には職人がサインを刻印していました。作成した職人の親方と、作成した職人本人の名前を一文字ずつ、小判裏面の左下に刻印します。
親方→職人と地位の高い順に名前を彫るこの習わしですが、親方のサインが『大』、職人のサインが『吉』となることがあります。二つあわせて『大吉』と読めるため、当時から縁起が良いと人気でした。
この刻印には現代でも高い価値が認められており、大吉の有無だけで同じ小判でも価格がかなり異なります。
偶然大吉と献上大吉の見分け方
偶然大吉と献上大吉、どちらも『大吉』のサインがありますが、見分けることができます。献上用目的で丁寧につくられた献上大吉は、外枠の触感がなめらかできれいな仕上がりです。
一方、偶然大吉は流通目的の金貨の刻印が、思いがけず大吉になった金貨のため、献上大吉よりも外枠がきれいではありません。
さらに大吉の文字自体も献上大吉のほうがしっかりと打ってあるため、一見して大吉とすぐにわかる外枠がきれいな金貨は、献上大吉の可能性が高いでしょう。
安政小判の種類と価格
日本で発行された大判や小判のなかで、安政小判は特に発行期間が短い小判です。
そのため発行枚数がかなり少なく、希少性や現存数といった点で高いプレミアがつきやすいです。また短い発行期間にも関わらず、偶然大吉や献上判の存在も確認されています。
基本的に偶然大吉や献上大吉はそうでない小判よりやや高値で取引されますが、安政小判に至っては、約3.5倍の価格差がつく場合もあります。
それほど小判のなかでは希少な種類であることがわかります。
さらに裏面の左下に『九東』と彫られた安政小判は、大吉の刻印と同じくらい珍しい刻印と評価され、高いプレミアがつきます。
大吉の刻印同様に、最初にチェックすべき点といえるでしょう。
以下が種類一覧となりますが、記載している価格は状態が非常に良い場合での参考買取価格になります。その点ご留意ください。
安政小判 偶然大吉(あんせいこばん ぐうぜんだいきち)
偶然大吉の小判は献上判と比べ人の手に触れる機会が多いです。そのため傷や汚れがつきやすく、品質の観点から多くの小判は献上判のほうが価格が高い傾向にあります。
しかし安政小判の場合、献上判より偶然大吉のほうが価格が高いことが多いです。元の発行枚数が少ないことから、偶然大吉の数もかなり少ないのでしょう。
かなり状態が良いものだと400万円以上の値が付くケースもあります。
またその中でも『九東』の刻印は希少なので、安政小判も裏面の文字をしっかりと確認することをおすすめします。
安政小判 献上大吉(あんせいこばん けんじょうだいきち)
本来小判の裏面には製作者である職人のサインをほどこしますが、献上小判は例外です。幕府への贈り物としてつくるため、意図的に大吉と刻印されています。
また多くの献上大吉は流通されずに長期保管されていたため、金の輝きが一段と強く感じられる点も特徴の一つです。
上記の事情がありながらも、安政小判においては偶然大吉のほうが価格が高い傾向にあります。
小判において、偶然大吉が希少数や現存数によるプレミアで献上小判より高額となることは非常に珍しいパターンです。
古銭に詳しくないと見た目が良いほど高いと考えてしまいますが、安政小判は他の小判と価格の基準が異なるので気を付けてください。