北海道の記念硬貨一覧

地方自治法施行60周年記念貨幣(北海道)　1,000円銀貨幣

1000円銀貨幣は表面が都道府県ごとに異なったデザインになっています。

北海道の図案は日本でも最大級のカルデラ湖である洞爺湖、そして、北海道の県の鳥でもあるタンチョウです。カルデラ湖の青々とした水とタンチョウの純白がカラーコインで、美しく描かれています。

また、日本の美しさを示す「雪月花」をイメージした、雪の結晶、三日月、桜の花が裏面には描かれています。

この銀貨幣は日本の偽造防止技術の結晶ともいえる硬貨です。特に側面にある斜めのギザ模様は、貨幣の模様を刻むときに同時に施されるため、従来よりも加工の工程が少なくなっています。この技術は、日本の造幣局が独自に開発したものです。

また、裏面に描かれた雪の結晶には、下に向けると「60」が、上に向けると「47」の文字が浮かび上がるという潜像加工が施されています。ほかにも微細点など、偽造防止技術が数多く用いられており、日本の造幣技術の結晶ともいえる作品です。

地方自治法施行60周年記念貨幣(北海道)　500円バイカラー・クラッド貨幣

500円記念硬貨の表面も、都道府県を象徴する図案となっています。

北海道の図案は、1000円銀貨幣と同様の洞爺湖と、札幌市内にある北海道庁旧本庁舎です。特に洞爺湖は、2008年のサミット開催の場所でもあることから、両方の図案に選ばれたのではないでしょうか。

この500円硬貨は、日本では初めてのバイカラー・クラッド硬貨です。異なる種類の金属をサンドイッチ状に挟みこむ「クラッド」と、異なる金属でできたリングにはめ込む「バイカラー」の2種類の技術が使われているほか、潜像加工などの偽造防止技術もふんだんに使われています。特に、貨幣側面の異形斜めギザ模様は、技術的にも視覚的にも偽造防止効果を一層高めたものになっています。

【500円記念硬貨の表面　『北海道庁旧本庁舎』】

北海道の記念硬貨には、明治時代に作られた北海道庁旧本庁舎が描かれています。赤レンガ庁舎としても知られており、有名な札幌市内の観光地のひとつです。

現在は、改修工事のため庁舎内には入館することができませんが、周辺の庭園も明治モダンを感じる観光スポットです。

北海道開拓のシンボルとして

維新後の日本にとって、対ロシアの最前線となる北海道の開拓は急務でした。しかし、明治15年に北海道開拓使が廃止されたあとは、開拓の方針を巡り道内や中央政府に激しい衝突が発生します。

そのなかで内務省管轄の北海道庁が発足します。北海道庁旧本庁舎は、その現場機関として、明治21（1888）年に完成したアメリカ風ネオバロック様式の建物です。

フランスのナポレオン三世の登場からはじまったネオバロック様式は、当時の建築業界では世界的な流行でした。フランスはパリのオペラ座を筆頭に、ノルウェーはオスロの国立劇場のほか、日本では赤坂離宮などもネオバロック様式の建物です。北海道庁初代長官である岩村通俊は、独立と進取のシンボルとして、旧本庁舎にもネオバロック様式を取り入れたとされています。

そんな当時の最先端である建物に使われた資材は、ほとんどが北海道で作られたものです。特に、外観を彩る約250万個のれんがは、現在の札幌市白石区にあたる白石村で作られたものであり、「フランス積み」による美しい壁面を生み出しています。

旧本庁舎の役目は終わらない

旧本庁舎は、明治42（1909）年の火災により一度焼失し、明治44（1911）年に建て直されます。そのときの外観は、竣工時とは異なりドイツ風ゴシックスタイルに変更されてしまいました。

しかし、昭和43（1968）年に現在の北海道庁が完成すると同時に大規模な改修工事が実施され、竣工当時の姿を取り戻しました。現在の館内には、明治からはじまる北海道開拓の歴史を学ぶ資料やジオラマなどが多数展示されています。

また、旧本庁舎の一部は、現在でも隣接する北海道庁の会議室としても使用されています。そのため、観光地でありながら、現役の行政施設としても機能しているという、非常に珍しい建物です。そんな旧本庁舎は、「赤レンガ」として道民に親しまれており、昭和44（1969）年には、国の重要文化財に指定されています。

ほかにも、旧本庁舎の周囲は四季折々の姿を魅せる庭園で有名です。春は桜やライラックの花が咲き、夏は豊かな緑が鮮やかに彩ります。秋には紅葉やイチョウ並木、そして冬にはライトアップされた幻想的な風景で私たちを出迎えてくれます。季節ごとに全く違った顔を見せることも、旧本庁舎が長年愛され続ける理由ではないでしょうか。

【札幌市の記念メダル　『大倉山と日の丸飛行隊』】

出典：大倉山ジャンプ台 - 記念メダルの茶平工業

札幌市は市内に観光地が多く、各所で記念メダルが購入できます。

そのうちのひとつ、「日の丸飛行隊」の記念メダルは、昭和47（1972）年に開催された札幌オリンピックでスキージャンプ競技会場になった大倉山で購入できます。雪景色の大倉山とともに、飛んでいくスキージャンパーが刻まれています。

もうひとつの幻のオリンピック

1936年の国際オリンピック委員会総会で、1940年の夏季オリンピックの開催地が東京に決定されました。当時のオリンピック憲章では、夏季大会の開催国に冬季大会の開催地としての優先権が認められていたため、同時に日本は冬季大会を札幌で行うことを総会に提案します。その後、この提案が正式に認められたため、札幌が五回目の冬季オリンピックの開催地となることが決定しました。

しかし、当時の日本は、日中戦争の真っ只中でした。軍部を中心に開催を懸念する声が上がりはじめたほか、当時のオリンピック委員会と国際スキー連盟の対立もあり、大会開催に否定的な声が日に日に強くなっていきます。結局、日本は東京と札幌、両方の開催権を返上し、アジア初開催の冬季オリンピックは幻となりました。

スキージャンプの聖地として

大倉山は、元々は札幌市内にある無名の山でした。そこに大倉喜七郎が私財を投じてジャンプ台を建設したことから、「大倉山」と名づけられました。

以後、雪印乳業などもジャンプ台を建設し、いつしか大倉山は日本におけるスキージャンプの聖地となっていきました。現在でも、大倉山は国内外の数多くの大会の開催地として選ばれています。

そんな大倉山で開催された札幌オリンピックのジャンプ競技において、日本は笠谷幸生、金野昭次、青地清二の3選手が表彰台を独占する快挙を成し遂げます。

この後、日本のスキージャンプ代表選手陣を「日の丸飛行隊」と呼ぶようになりました。その技術は、確実に現在の選手陣にも受け継がれており、次回の第25回の冬季オリンピックでもメダルの獲得が期待されています。大倉山の記念メダルを手に、選手の活躍を期待しましょう。