金価格って、実は人類の歴史そのものなんです。
古代エジプトのファラオから現代の投資家まで、みんなが夢中になった黄金の物語がここにあります。明治時代の「1g=67銭」から始まり、2025年には20,000円を超える歴史的な高騰を見せる金価格の軌跡は、まさにジェットコースターのようなスリルに満ちています。戦争、恐慌、バブル崩壊、そしてコロナ禍まで─あらゆる時代の激動が金価格に刻まれてきました。
この記事では、そんな壮大な金価格の歴史を、古代から2025年現在まで一気に駆け抜けます。金に関する専門コラムの全11本をわかりやすく紹介していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
金価格の歴史を網羅!時代別完全ガイド
金価格の歴史は、大きく3つの時代に区分できます。
最初の「古代・中世・近代編」では紀元前6000年から1933年まで、人類が金を発見してから金本位制が確立されるまでの長い道のりを追います。
次の「現代金融システムの確立編」では1933年から1971年まで、第二次世界大戦とブレトン・ウッズ体制により金価格が固定された時代を解説します。
そして最後の「現代の金価格変動編」では1971年から2025年現在まで、ニクソン・ショック以降の激動の50年間を詳しく見ていきます。
各時代の特徴を理解することで、金価格がなぜ今の水準にあるのか、その理由がクリアになるはずです。
古代・中世・近代編(紀元前6000年~1933年)
人類と金の関わりは、紀元前6000年頃のシュメール文明まで遡ります。ここからは、金が「価値の象徴」としての地位を確立するまでの壮大な歴史の物語です。
古代・中世・近代編①―古代文明から金本位制まで
金の歴史は、紀元前6000年頃のメソポタミア地域で栄えたシュメール文明から始まりました。彼らは神々への捧げものとして金を用いていたとされています。
続く古代エジプトでは、金は太陽神ラーの象徴とされ、ツタンカーメンの黄金のマスクに代表されるように、王の権威を示すためにふんだんに使われました。
中世ヨーロッパでは、卑金属から金を人工的に作り出そうとする「錬金術」が流行。これ自体は失敗に終わりましたが、後の科学発展に大きく貢献しました。
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古代・中世・近代編②―金本位制の時代
19世紀に入ると、イギリスを筆頭に主要国は自国通貨の価値を金で裏付ける「金本位制」を採用します。
これにより、金は国際的な決済手段としての地位を不動のものとしました。日本では明治時代にこの制度が導入され、当初の金価格は1gあたり67銭でした。
その後、経済発展と共に金の価値は上昇し、明治30年(1897年)には1円34銭と、約30年で2倍近くに高騰。金が経済の基盤として、また資産として明確に意識される時代の幕開けでした。
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現代金融システムの確立編(1933年~1971年)
1933年から1971年までの約40年間は、現代金融システムの基礎が築かれた極めて重要な時代です。
世界大恐慌の衝撃から始まり、第二次世界大戦を経て、戦後のブレトン・ウッズ体制へと続く激動の時代でした。
この期間の金価格は、政治や戦争によって大きく左右されることとなります。
現代金融システムの確立編①―第二次世界大戦と金の関係
1939年に勃発した第二次世界大戦は、世界の金融システムを根本から変えることとなります。
戦争が始まると、各国は軍事費調達のため金の管理を厳格化しました。アメリカでは1933年に金の私有を禁止する法律が制定され、金価格は1オンスあたり20.67ドルから35ドルへと大幅に切り上げられました。これは約69%の価格上昇を意味する画期的な政策でした。
一方、イギリスでは1939年の金輸出禁止措置により事実上の変動相場制に移行。戦争により各国の金融政策が大きく変化し、戦後の国際金融システム再構築への道筋が作られていきました。
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現代金融システムの確立編②―ブレトン・ウッズ体制
1944年7月、アメリカのブレトン・ウッズで開催された連合国通貨金融会議において、戦後の国際金融システムの骨格が決定されました。
この「ブレトン・ウッズ体制」は、金価格を1オンス35米ドルに固定し、各国通貨の価値をドルに結びつけるという革命的な仕組みでした。これにより、金は再び国際金融システムの中核的な役割を担うこととなります。
この体制下では金価格は約27年間固定され、世界経済の安定成長を支える基盤となりました。
しかし、1960年代後半になるとアメリカの財政赤字拡大により体制に綻びが生じ始め、1971年のニクソン・ショックによる金ドル交換停止へと向かっていくこととなります。
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現代の金価格変動編(1971年~2025年)
1971年のニクソン・ショックは、金価格の歴史に新たな章を刻みました。この瞬間から現在まで約50年余りで、金価格は当時の35ドルから約2,400ドル水準まで約70倍という驚異的な上昇を遂げています。
激動の50年間を7つの時代に分けて見ていきましょう。
現代の金価格変動編①―第1次金価格バブル
1970年代後半から1980年代初頭にかけて、金価格史上最大の暴騰が起きました。
1979年のイラン革命とソ連のアフガニスタン侵攻により地政学的リスクが高まり、金価格は1980年1月に史上最高値の850ドルを記録。
この時期の日本の金価格も6,945円/gという歴史的高値に達しました。
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現代の金価格変動編②―1980年代の調整期
バブル崩壊後の1980年代は長期調整局面となりました。アメリカの高金利政策とドル高により金への投資魅力が薄れ、価格は300ドル台まで下落。
この時期は金投資の冬の時代と呼ばれました。
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現代の金価格変動編③―失われた90年代
1990年代は金価格にとって「失われた10年」でした。
各国中央銀行による金準備売却や、株式市場の好調により金への関心は薄れ、価格は250ドル台という20年ぶりの安値圏で推移しました。
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現代の金価格変動編④―2000年代の金価格復活
21世紀に入ると金価格は復活の兆しを見せ始めます。
ITバブル崩壊、9.11テロ、イラク戦争などの要因により、安全資産としての金が再評価されました。
2008年には1,000ドルの大台を突破し、新たな上昇局面に入ります。
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現代の金価格変動編⑤―リーマン・ショックとその影響
2008年のリーマン・ショックは金市場にも大きな衝撃を与えました。
しかし、世界的な金融不安により安全資産としての金の価値が見直され、2011年には1,900ドル台の史上最高値を更新。
この時期から金は本格的な強気相場に突入しました。
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現代の金価格変動編⑥―アベノミクスから1,500ドル突破まで
2013年のアベノミクス開始により円安が進行し、日本の金価格は急上昇しました。
その後、2019年には国際金価格が1,500ドルを突破し、新たな上昇トレンドを確立。
この時期は各国の金融緩和政策が金価格を押し上げる要因となりました。
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現代の金価格変動編⑦―コロナ後の金価格高騰
2020年の新型コロナウイルス感染拡大により世界経済が混乱する中、金価格は2,070ドルの史上最高値を記録しました。
日本でも2025年6月に17,678円/gという歴史的高値を更新。現在も20,000円台という高水準で推移しており、金の存在感はかつてないほど高まっています。
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まとめ
古代から2025年までの金価格の歴史を駆け足で振り返ってまいりました。
人類が金を発見してから約8,000年という長い年月を経て、金は常に「価値の象徴」として愛され続けてきました。その間には戦争、恐慌、バブル、政策転換など数々の困難がありましたが、金は一度もその輝きを失うことなく現在に至っています。
ご紹介した歴史の流れが、これから金投資を検討される方や、お手持ちの金貨・貴金属の売却タイミングを判断される際の参考になれば幸いです。