地方自治法が施行されてから60周年を記念した硬貨
熊本を代表するキャラクターといえば、皆さんご存じの「くまモン」でしょう。熊本の魅力をPRする彼は、今や日本のみならず海を飛び越えて世界でも有名なゆるキャラとして、その名を轟かせています。しかし、ある人が熊本に来なければくまモンも生まれてこなかったに違いありません。
そのある人とは、熊本県民が敬愛してやまない加藤清正です。豊臣秀吉による九州平定が終わったのち、清正は肥後国の北半分を与えられます。当時の熊本は「隈本」と呼ばれていましたが、清正が「隈という字は『畏(おそれ)』という文字が入っていて縁起が悪い」と言ったことで、同じ読みで勇猛な「熊」の字に変えたと伝わっています。清正が「熊」に変えなければ、今頃熊本県のPRは「隈」にちなんで歌舞伎役者が務めていたかもしれません。
また、熊本県は「火の国」と「水の国」という相反する2つの名前でも呼ばれています。この異名の由来は県東部の阿蘇地方にある阿蘇山です。世界でも類を見ないほど大規模なカルデラを持つ阿蘇山は、現在に至るまで何度も活発に活動を続ける火山であり、熊本のシンボルです。同時に地熱発電や生活用水の源流になるなど、県民の生活を異名のとおり「火」と「水」で支えている山でもあります。
地方自治法施行60周年記念貨幣(熊本県) 1000円銀貨幣
火の国熊本を象徴する阿蘇山は、南北25km、東西18kmという世界でも有数の大きさのカルデラを持つ火山です。古くは山岳信仰の霊場でしたが、現在では夏でも冷涼な気候を活かした九州の避暑地として親しまれています。また、周囲には温泉も多く湧き出しており、熊本のみならず九州を代表する観光地となっています。
しかし、阿蘇山は現在でも活発な活動を続けている火山のひとつです。火口付近では有毒ガスの噴出や火砕流の発生が相次いでおり、今も火を吹き続けています。噴火への備えをしつつも、恵みを享受するという自然との上手な付き合い方が、熊本の異名にも現れているのかもしれません。
発行年 | 平成23 |
図柄(表) | 阿蘇 |
図柄(裏) | 雪月花 |
素材 | 銀 |
品位 | 純銀 |
量目 | 31.1グラム |
直径 | 40mm |
地方自治法施行60周年記念貨幣(熊本県) 1000円銀貨幣買取価格
地方自治法施行60周年記念貨幣(熊本県) 500円バイカラー・クラッド貨幣
江戸時代を通して熊本は細川氏が治めており、加藤氏が統治した時期は江戸時代初期のわずかな期間しかありません。それでも、西南戦争で熊本城に立て籠もった政府軍を攻めた西郷隆盛は「清正公に負けた」とつぶやいたという逸話が残るほど、熊本城と加藤清正は切っても切れない関係です。
1588年に肥後北半分の領主となった加藤清正は、元々隈本城があった一帯に城郭を築きはじめました。築城にあたり「築城の名手」とあだ名された清正は、籠城戦に備えた数々の造りを城内に残しています。数多くの井戸や畑を城内に用意し籠城戦に備えるだけではなく、替えの建材を事前に用意するなど、実際に使うことを想定して清正は熊本城を築城しました。その微に入り細を穿つ抜け目のなさが、隆盛のつぶやきにつながったのかもしれません。
発行年 | 平成23 |
図柄(表) | 熊本城 |
図柄(裏) | 古銭のイメージ |
素材 | ニッケル黄銅、白銅及び銅 |
品位(千分中) | 銅750、亜鉛125、ニッケル125 |
量目 | 7.1グラム |
直径 | 26.5mm |