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錬金術は現代に実在する!?人工的に金を創る技術に迫る【実例アリ】

卑金属から金を創る「錬金術」。漫画やアニメでよく聞くこの魔法が、現在でも真剣に考えられていたとしたら、そして部分的には実現しつつあるとしたら、あなたはどう思いますか?

実は2025年、スイスのCERNで鉛から金への変換に成功したという驚きのニュースが世界を駆け巡りました。また、アメリカのスタートアップ企業Marathon Fusionは核融合技術を使い、水銀から金を生み出す革新的な手法を発表しています。

中世の錬金術師が夢見た「人工的な金の生成」。今回は、金を産み出す現代の技術について、実用性の観点から紹介していきます。

フィクションと現実の間にある『錬金術』の真の姿

私たちが「錬金術」と聞いて思い浮かべるイメージは、実際の歴史とは大きく異なることをご存知でしょうか。

現代では少年漫画『鋼の錬金術師』やテレビゲーム『アトリエ』シリーズなどにはじまり、直近では特撮ドラマ『仮面ライダーガッチャード』でも取り上げられたのは記憶に新しいでしょう。こういったフィクション作品の影響で、錬金術は魔法的な力で瞬時に物質を変換する技術として認識されがちです。

しかし、実在した錬金術は化学の原点となった科学的探求であり、金を創る以外にも医学や薬学の発展に大きく貢献した学問体系でした。

一般的なイメージ/魔法による金属変換の幻想

さて、皆様は「錬金術」といえば、まずどのような手法や絵面を想像するでしょうか。魔法陣を描いたり、両手をパン!と合わせて地面に打ち付けたり、変身ベルトを巻き両手で三角形を作って眼前に構えたり……でしょうか?

こういった手法は、日本で人気のフィクション作品が描く錬金術のイメージです。

昨今の所謂「錬金術モノ」では、錬金術は単なる金属変換にとどまらず、物質の形や性質を自在に変える魔法的技術として描かれています。

例えば『ハガレン』では「「等価交換」と「理解・分解・再構築」という原理で、あらゆる物質を変化させる技術」として表現され、『ガッチャード』では「金属や鉱石、更には肉体や魂をも精錬し、モノに仮初めの命を与える秘術」と定義されています。

むろん、そういった作品でも「非金属を金属に変換する」という狭義の錬金術が登場することは多いです。しかし、作品に登場するのはあくまで理想化された幻想であり、実際の錬金術の姿とは大きく異なります。

実際の錬金術/化学の原点となった科学的探求

真の錬金術は、古代ギリシャの哲学者アリストテレスの四元素説(火、空気、水、地)を理論的基礎とした科学的探求でした。

アリストテレスは、あらゆる物質が「熱・冷」「湿・乾」という4つの性質の組み合わせによって構成されると考え、この形相の変化により元素転換が可能であると論じました。錬金術師たちはこの理論に基づき、物質の性質を変化させることで卑金属を金に変換しようと試みたのです。

特に16世紀のパラケルススは「医化学の祖」と呼ばれ、錬金術の知識を医学に応用した革新的な人物でした。彼は鉛、銅、ヒ素などの化合物を合成して医薬品として活用し、水銀を梅毒治療に用いるなど、化学的な手法を医療に導入しました。

このように錬金術は、金の生成だけでなく薬学や医学の発展にも大きく寄与していたのです。

錬金術師たちの研究過程では、硫酸、硝酸、塩酸といった現在でも使用される化学薬品が発見され、蒸留法やろ過といった実験技術が開発されました。これらの成果は17世紀後半のロバート・ボイルらによる化学革命への道筋を築き、現代化学の基盤となったのです。

つまり錬金術は、決して非科学的な迷信ではなく、化学という学問の出発点として重要な役割を果たした実在の科学技術だったといえるでしょう。

歴史に刻まれた錬金術師たちの挑戦

現代科学が実現した錬金術の背景には、古代から中世にかけて数千年にわたる錬金術師たちの絶え間ない挑戦がありました。彼らの探求心と実験精神は、時代と地域を超えて受け継がれ、やがて現代化学へと結実していったのです。

錬金術がたどった壮大な歴史の軌跡を、地域ごとに見ていきましょう。

古代エジプトからアラビア世界への技術継承

錬金術の起源は紀元後初頭の古代エジプト、特にヘレニズム文化の中心地であったアレクサンドリアに求められます。西暦300年頃に書かれた「ライデンパピルス」や「ストックホルムパピルス」には、金や銀に別の金属を加えて増量する方法や染色法が記されており、これが現存する最古の錬金術資料とされています。

4世紀にはパノポリスのゾシモスという錬金術師が膨大な著作を残し、ユダヤ婦人マリアは密閉容器で蒸気を金属に当てる「ケロタキス」という装置を発明しました。この技術は現代でも「バン・マリ(湯煎)」という名で料理に使われており、古代技術の実用性の高さを物語っています。

7世紀以降、イスラム帝国の拡大とともに、アレクサンドリアで発展した錬金術の知識はアラビア語に翻訳されました。そしてその先、8世紀から9世紀にかけて活躍したジャービル・イブン・ハイヤーン(西欧名ゲーベル)は、硫酸・硝酸・塩酸・王水といった強力な化学薬品を発見し、蒸留装置アランビックを考案するなど、錬金術を体系的な学問へと発展させました。

彼の400を超える著作は12世紀にラテン語に翻訳され、後の中世ヨーロッパの錬金術に計り知れない影響を与えることになります。

中世ヨーロッパで花開いた錬金術の黄金時代

12世紀にアラビア語の錬金術文献がラテン語に翻訳されると、ヨーロッパでも錬金術研究が本格化しました。

13世紀にはスコラ学者のアルベルトゥス・マグヌスやロジャー・ベーコンが金属生成の実験に関心を持ち、マグヌスは『鉱物書』において「金に似たものはできるが真の金は作れない」という、後に正しいと証明される洞察を残しています。

16世紀ルネサンス期には、錬金術は最盛期を迎えます。特に医師・錬金術師のパラケルスス(1493-1541)は、錬金術を医療分野に応用し、水銀やアンチモンなどの金属化合物を医薬品として使用する「イアトロ化学」を確立しました。

彼はアリストテレスの四元素説とアラビアの三原質(硫黄・水銀・塩)を統合し、完全な物質「アルカナ」の理論を打ち立てています。

驚くべきことに、万有引力の発見で知られるアイザック・ニュートン(1642-1727)も熱心な錬金術師でした。彼は錬金術文献を熱心に収集・写本し、膨大な研究ノートを残しており、物理学革命の陰で錬金術的世界観を追求し続けていたことが明らかになっています。

17世紀末までに錬金術の実践的側面は化学へと進化し、錬金術師たちは化学者として新たな時代を切り開いていったのです。

CERN実験:現代科学が実現した『鉛から金』への変換

2025年、スイスの欧州原子核研究機構(CERN)で行われた画期的な実験は、世界中の科学者と一般市民の注目を集めました。

世界最大の粒子加速器LHC(大型ハドロン衝突型加速器)を使用したALICE実験において、ついに鉛から金への変換を実現したのです。

この「現代の錬金術」は単なる偶然の産物ではなく、最先端の物理学理論に基づいた精密な実験から生まれた成果でした。

大型ハドロン衝突型加速器による原子核変換の仕組み

LHCでの金生成は、鉛イオンを光速の99.999993%まで加速し、「ニアミス衝突」という特殊な状況で実現されました。完全な正面衝突ではなく、鉛原子核同士がごくわずかに近接通過する際に発生する超強力な電磁場が鍵となります。

鉛原子核は82個の陽子を持つため、その電磁場は非常に強力で、高速運動により磁力線が進行方向に垂直な薄い円盤状に圧縮され、強烈な光子パルスを生成します。

この光子が別の鉛原子核と相互作用することで、「電磁解離」と呼ばれるプロセスが引き起こされます。鉛原子核(陽子82個)から3個の陽子が叩き出されることで、金原子核(陽子79個)への変換が完成するのです。

重要なのは、この現象はLHCが素粒子物理学研究のために設計された装置であり、金の生成はあくまで実験の副産物に過ぎないということです。LHCの本来の目的は、宇宙誕生直後の状態を再現し、物質の根源的な性質を探ることにあります。

実用化における課題:コストと効率性の現実

CERNでの成果は科学的には画期的でしたが、実用化には深刻な課題があります。LHC第2運転期間(2015-2018年)で生成された約860億個の金原子核も、質量に換算するとわずか29ピコグラム(29兆分の1グラム)に過ぎません。これは宝飾品はおろか、肉眼で確認することすら不可能な微量です。

さらに深刻なのは、生成された金の寿命です。高エネルギー状態で出現した金原子核は、マイクロ秒程度しか存在せず、LHCのビームパイプやコリメーターに衝突して即座に陽子・中性子・その他の粒子へと分解してしまいます。

つまり「瞬きする間」にすら存在しない金なのです。

経済的な観点から見ても、LHCの運転コストは1日あたり数億円に上ります。一方、生成される金の価値は現在の金価格(約13,000円/g)で計算すると、年間でも数円程度にしかなりません。コストと産出量の比率は何兆倍もかけ離れており、商業的な金生産手段としては完全に非現実的です。

しかし、この実験の価値は経済性にあるのではありません。電磁解離プロセスの理論モデルを実証し、将来の高性能加速器設計に必要な技術を向上させる重要な基礎研究として、その意義は計り知れません。

古代から追い求められてきた錬金術の夢は、現代では「知の錬金術」として、人類の科学技術発展に貢献しているのです。

Marathon Fusion:核融合技術を活用した水銀から金への錬金術

2025年7月、サンフランシスコに拠点を置くスタートアップ企業Marathon Fusionが、核融合技術を活用して水銀から金を大規模に生成する手法を公開し、大きな話題を呼びました。

同社が査読前論文として発表した内容は「重水素-トリチウム融合」による中性子を利用して水銀を金に変えるという、まさに現代の錬金術です。果たしてこの技術は経済的に成立するのでしょうか。

水銀198から金197への核変換プロセス

Marathon Fusionの提案する方法は、重水素とトリチウムの核融合反応から生まれる高エネルギー中性子を活用します。この核融合反応では14.1MeV(メガ電子ボルト)という非常に高いエネルギーを持つ中性子が放出され、これが錬金術の鍵となるのです。

具体的なプロセスは次の通りです。

まず、天然の水銀に約10%含まれる水銀198同位体に高エネルギー中性子を照射すると、「(n, 2n)反応」と呼ばれる現象が起こります。これは1つの中性子が原子核に衝突すると、ビリヤードの玉突きのように2つの中性子が飛び出す反応で、結果的に原子核は中性子を1つ失い、不安定な水銀197へと変化します。

生成された水銀197は半減期64.1時間の不安定な核種です。この水銀197は「電子捕獲」という崩壊プロセスを経て、約3日間で安定した金197へと変化します。電子捕獲では、原子核が軌道電子を取り込むことで陽子が中性子に変わり、原子番号が1つ減少して別の元素になるのです。

同社は1GWth(熱エネルギー1ギガワット)の核融合炉で年間2トンの金を生成でき、現在の金価格で年間2億ドル(約300億円)の追加収益を生み出せると主張しています。

商業化の可能性と技術的ハードル

しかし、この「夢の技術」には看過できない深刻な課題が山積しています。最大の問題は、核融合発電そのものがまだ実用化されていない点です。

現在フランスで建設中の国際熱核融合実験炉(ITER)は総建設費約2.5兆円を投じた実験炉に過ぎず、実際に発電できる原型炉や商業炉の建設にはさらに巨額の費用が必要になります。内閣府の試算では、実用化後の核融合炉1基あたりの建設コストは約4,900億円に上るとされています。

仮に核融合発電が実用化されたとしても、金生成特有の困難が待ち構えています。天然水銀のうち金に変換できる水銀198はわずか10%程度に過ぎず、残りの約90%は錬金術に使えない「無駄な水銀」です。効率を上げるには水銀198を濃縮する同位体分離プロセスが必要ですが、これには膨大な追加コストとエネルギーが必要になります。

さらに深刻なのは、生成される金に放射性同位体の金195が混入する点です。この放射性金は安全に使用できるレベルまで冷却するのに6.8年から17.7年もの時間が必要で、その間の保管コストと安全管理が経済性を大きく損ないます。

また、この放射性不純物を除去するには高度な化学的分離プロセスが不可欠ですが、論文では「一部のプロセスを実験室レベルから工業レベルに拡大する必要がある」と認めており、技術的実現性すら確立していません。

何より、核融合発電自体が高温プラズマの制御、高温に耐える炉壁の開発、トリチウムの確保など、解決困難な技術的課題を多数抱えているまだまだフィクション的なものです。

Marathon Fusionの提案は理論上は魅力的ですが、核融合発電の実用化自体が2050年代以降とされる中、金生成で経済性を確保するという主張は現時点では極めて楽観的と言わざるを得ません。

古代からの錬金術の夢は、まだしばらく「夢」のままにとどまりそうです。

まとめ

数千年にわたって追い求められてきた錬金術の夢は、ついに科学的現実となりました。確かに現時点では実用化には課題が山積していますが、かつて不可能とされた原子核変換が実現された事実は、科学技術の驚異的な進化を物語っています。

フィクション作品で描かれる魔法のような錬金術が、いつか本当に実用化される未来が訪れるのか。その答えは、私たちの子孫の時代に託されているのかもしれません。

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