3つの買取方法
天皇陛下御即位記念10万円金貨の関連記事
お役立ちコンテンツ
買取品目
会社情報

金価格の歴史 現代の金価格変動編⑤―リーマン・ショックとその影響

←前回:「金価格の歴史 現代の金価格変動編④―2000年代の金価格復活」

2008年のリーマン・ショックは、金価格の歴史において最も劇的な転換点の一つとなりました。この未曾有の金融危機は、貴金属市場に激震をもたらし、投資家の資産運用に対する考え方を根本から変える契機となったのです。

リーマン・ショック前後の金価格推移を詳しく見ると、2007年のサブプライム問題発生時には既に金への資金流入が始まっていました。

しかし、2008年10月の金融機関破綻時には一時的な急落を経験し、その後の各国による大規模な金融緩和政策によって史上最高値まで駆け上がるという、まさにジェットコースターのような値動きを見せています。

本記事では、この激動の5年間における金価格変動の詳細なメカニズムについて解説していきます。

リーマン・ショック前の金価格動向(2007年)

2007年は金価格の歴史において重要な転換点を迎えた年として記録されています。この年の金価格推移を振り返ると、年初から徐々に上昇基調を強めていく様子が明確に見て取れるのです。

特に注目すべきは、サブプライムローン問題が表面化し始めた夏頃から、投資家の金に対する関心が急激に高まったことでした。

2007年前半の金価格は比較的安定した動きを見せていましたが、米国住宅市場の不安定化が明らかになると状況は一変します。リスク回避の動きが強まり、従来の株式や債券投資から貴金属へと資金が流れ始めたのです。

この動きは一時的な現象ではなく、その後の金融危機につながる構造的な変化の前兆でもありました。

サブプライム問題と金への資金流入

サブプライムローン問題の本格的な露呈は、2007年夏頃から始まりました。

信用力の低い借り手に対する住宅ローンの焦げ付きが相次いで発生し、これまで安全とされてきた住宅担保証券の価値が急落したのです。この事態を受けて、投資家は従来のリスク資産から安全資産への資金移動を加速させました。

金投資への資金流入は段階的に進行しました。最初は機関投資家による慎重な分散投資の一環として始まりましたが、問題の深刻さが明らかになるにつれて、個人投資家も金の魅力を再認識するようになったのです。

特に印象的だったのは、従来は金投資に消極的だった年金基金や保険会社が、リスクヘッジ目的で金への投資比率を高めたことでした。

この時期の金投資の特徴は、単なる投機的な動きではなく、ポートフォリオの安定化を図る目的が強かったことです。サブプライムローン問題により、従来の金融商品に対する信頼が揺らぐ中で、金は数千年にわたって価値を保持してきた実績が見直されました。

結果として、2007年後半には金価格が着実に上昇基調を強め、翌年の激動相場への下地が形成されることになったのです。

リーマン・ショック直後の金価格急落(2008年10月)

2008年9月15日のリーマン・ブラザーズ破綻は、金融史上最大級の衝撃波を世界中に送り出しました。

この未曾有の金融危機により、金価格は予想外の展開を見せることになります。多くの投資家が安全資産として金への逃避を期待していた中で、実際には激しい金価格下落が発生したのです。

リーマン・ショック直後の2008年10月における金価格の動きは、従来の金融理論では説明が困難な現象でした。通常であれば金融危機時には貴金属に資金が集まるはずですが、この時期は全く逆の現象が起こりました。

金価格推移を詳しく見ると、10月に入ってから急激な下落傾向を示し、歴史的な安値を記録することになったのです。

金融機関による金売却とその要因

2008年の金価格下落の主要因は、金融機関による大規模な金売却にありました。

リーマン・ショックにより深刻な流動性危機に直面した各金融機関は、資金調達のために保有していた金資産を次々と市場に放出せざるを得なくなったのです。この売却圧力は想像以上に強力で、金市場全体に深刻な影響を与えました。

特に注目すべきは、これまで金を長期保有していた機関投資家が一斉に売却に転じたことでした。年金基金、保険会社、ヘッジファンドなどが資金繰りの悪化により、本来であれば保持し続けたかった金資産を手放す事態に追い込まれました。

また、信用収縮により証拠金の追加拠出を求められた投資家も、金を含むあらゆる資産の売却を余儀なくされました。

この結果、金市場には連日のように大量の売り注文が押し寄せ、価格の下支えが困難な状況が続いたのです。

2008年10月の歴史的安値

2008年10月24日、金価格は681ドルという歴史的安値を記録しました。国内においても同時期に2,104円という最安値を記録し、金投資家にとって忘れることのできない転換点となりました。

この価格水準は、サブプライム問題が表面化する以前の2007年初頭の水準を大幅に下回るものでした。

急落の背景には、前述した金融機関の売却圧力に加えて、個人投資家のパニック売りも重なっていました。連日の株価暴落により投資家心理が極度に悪化し、「安全資産」とされていた金でさえも信頼を失う事態となったのです。

さらに深刻だったのは、金の流動性が一時的に著しく低下したことでした。通常であれば活発に取引される金市場において、買い手が見つからない状況が頻発し、売り手は価格を大幅に下げてでも現金化を急ぐ必要に迫られました。

この異常事態により、681ドルという想定外の最安値が記録されることになったのです。

金融緩和による金価格上昇(2009-2012年)

2008年10月の歴史的安値から一転して、2009年以降の金価格は劇的な上昇局面を迎えることになりました。

この転換の背景には、世界各国の中央銀行による前例のない規模の金融緩和政策が存在していました。QE(量的緩和)と呼ばれるこれらの政策は、金価格上昇の主要なドライバーとして機能し、2012年まで続く大規模な上昇相場の基盤を築いたのです。

金融緩和による効果は段階的に市場に浸透していきました。最初は流動性危機の解決が主目的でしたが、次第に資産価格の押し上げ効果が顕著となり、特に金のような代替資産への投資意欲を高める結果をもたらしました。

2009年から2012年にかけての4年間は、まさに金融緩和が金価格押し上げの最大要因となった時期として記録されています。

各国中央銀行の金融政策変更

リーマン・ショック後の金融政策転換は、歴史的な規模と速度で実行されました。

アメリカのFRBは2008年11月から2010年6月までQE1を実施し、総額1兆7,250億ドル規模の量的緩和を断行します。続く2010年11月から2011年6月のQE2では6,000億ドルの追加緩和が実施され、2012年9月からはQE3が開始されました。

各国中央銀行の政策金利も前例のない低水準まで引き下げられました。FRBは政策金利を2007年の5.25%から2008年12月には0~0.25%へと急激に下げ、事実上のゼロ金利政策を導入しました。欧州中央銀行や日本銀行も同様の低金利政策を維持し、世界的な低金利環境が形成されたのです。

これらの中央銀行による大規模な資金供給は、市場に大量の流動性をもたらしました。

通常の債券や預金では十分な利回りが期待できない環境下で、投資家は代替資産としての金に注目するようになりました。特に機関投資家による金投資の本格化は、この時期から始まったと言えるでしょう。

ドル安進行と金への資金シフト

量的緩和政策の副産物として、ドル安が進行したことも金価格上昇の重要な要因でした。

大量のドル供給により、基軸通貨としての米ドルの希薄化懸念が高まり、為替相場では明確なドル安トレンドが形成されました。金はドル建てで取引されるため、ドル安進行は金価格にとって直接的な押し上げ要因となったのです。

この時期の金高・ドル安の関係性は非常に明確でした。投資家はドルの購買力低下を懸念し、実物資産である金をインフレヘッジとして活用する戦略を採用しました。特に2010年から2011年にかけては、欧州債務危機の影響もあり、主要通貨に対する信頼が全般的に低下したため、金への資金シフトが一層加速しました。

また、新興国からの金需要も急激に拡大しました。中国やインドなどの経済成長により、これらの国々の中央銀行が外貨準備の多様化を図り、金保有量を大幅に増加させたのです。民間投資家だけでなく、公的部門からの需要増加も金価格押し上げに大きく貢献することになりました。

安全資産としての金の地位確立

リーマン・ショック後の一連の金融危機を経て、金はまさに『有事の金』としての真価を発揮し、安全資産としての地位を不動のものとしました。

この時期の金への資金流入は、機関投資家と個人投資家の両方から起こりました。年金基金、保険会社、ヘッジファンドなどの大口投資家がポートフォリオの一部として金を組み入れ始め、分散投資の重要な構成要素として位置づけるようになったのです。

『有事の金』という言葉が単なる格言から、実際の投資戦略の中核となった瞬間でした。

2011年の史上最高値更新

2011年9月6日、金価格は遂に史上最高値となる1トロイオンス当たり1,900ドルを突破しました。国内市場においても同時期に4,745円という記録的な高値を達成し、まさに金価格の歴史における一大転換点となったのです。

この史上最高値達成の背景には、欧州債務危機の深刻化とアメリカの格下げという複合的な要因がありました。

特に印象的だったのは、アメリカの国債格付けが初めて引き下げられた際の市場反応でした。従来であれば最も安全とされていた米国債でさえリスク資産と見なされるようになり、投資家は真の安全資産を求めて金に殺到したのです。この現象は、金が最後の砦としての役割を果たすことを明確に示しました。

また、この時期の金投資の特徴として、個人投資家の参入が本格化したことが挙げられます。金地金や金貨の需要が急激に拡大し、貴金属販売店では品薄状態が続きました。まさに『有事の金』という概念が一般投資家にも浸透した瞬間でした。

2012年の調整局面と次なる転換点

2012年に入ると、金価格は史上最高値から徐々に調整局面を迎えることになりました。

この価格調整は一時的な利益確定売りの側面もありましたが、より重要なのは市場環境の変化が次なる転換期の到来を示唆していたことです。欧州債務危機の沈静化兆候や米国経済の緩やかな回復により、極度のリスク回避姿勢に変化の兆しが見え始めたのです。

しかし、この調整局面は金の安全資産としての地位を揺るがすものではありませんでした。むしろ、2008年の歴史的安値681ドルから1,900ドル台まで上昇した後の健全な調整として市場に受け入れられ、長期的な上昇トレンドの中の一時的な休息と解釈されました。

この時期は、2013年以降に始まるアベノミクスや各国の更なる金融緩和政策への転換期として位置づけられます。金市場にとって、リーマン・ショック後の急激な変動期から、より安定した成長期への移行点となった重要な年でした。

投資家の金に対する認識も、短期的な避難先から長期的な資産保全手段へと成熟していく過程にあったのです。

まとめ

リーマン・ショック期における金価格の歴史は、現代貴金属投資の転換点を明確に示しています。2007年のサブプライム問題発生から2012年の調整局面まで、金は劇的な価格変動を経験しました。

2008年10月の歴史的安値681ドルから2011年9月の史上最高値1,900ドル台まで、わずか3年間で約3倍の価格上昇を記録したのです。

この期間の特徴は、金融機関による大規模売却から各国中央銀行の量的緩和まで、多層的な要因が金価格に影響を与えたことです。特に2009年以降のQE政策とドル安進行は、金を真の安全資産として市場に認知させる決定的な契機となりました。

現在の金投資環境は、まさにこの時期に形成された基盤の上に成り立っているのです。

次回 現代の金価格変動編⑥―アベノミクスから現代まで

続く記事「金価格の歴史 現代の金価格変動編⑥―アベノミクスから現代まで」では、2013年に始まったアベノミクス政策が金市場に与えた影響から、現代に至るまでの金価格の軌跡を詳細にお伝えします。

量的・質的金融緩和、マイナス金利政策、そして新型コロナウイルス感染症拡大による市場変動まで、激動の10年間が金価格にもたらした変化とその背景をご紹介いたします。

"現代の金価格変動編⑥―アベノミクスから現代まで"を読む

関連記事

関連記事一覧はこちら

ご相談・ご依頼はコチラから

LINEでのご相談

来店予約・査定申込

メールでのご相談・よくあるご質問

営業地域一覧

金貨買取の専門家が適正価格でお買取りします!

年間1万件以上の取引実績&金貨買取歴10年以上の弊社の経験豊富な査定士が的確にお品物の価値をお見定めいたします。

『お客様にご納得いただける価格提示』に定評がある弊社にぜひ金貨をお持ち込みください!

  • 【買取実績】ロイヤルミント 5oz銀貨

  • 【買取実績】Pt900リング石付き 14.5g

  • 【買取実績】K18/Pt刻印リング(破損) 3.7g

  • 【買取実績】K18 ネックレス10.3g

  • 【買取実績】SV950 スプーンセット

  • 【買取実績】アメリカンイーグル金貨 1/10oz K18枠付 7.6g

  • 【買取実績】K18 ネックレス 2点 4.1g

  • 【買取実績】K18 喜平ブレスレット 20.2g

  • 【買取実績】K18 金歯10g

  • 【買取実績】クルーガーランド金貨 1/10oz 19枚

  • 【買取実績】K18 タイピン9.7g

  • 【買取実績】K18 ブローチ 10g

買取実績一覧はこちら

ブランド品・時計などの買取は、
弊社サービス「こちら買取本舗」もご利用ください。

遺品整理・買取

遺品整理や生前整理で出てきた記念金貨、コイン、古銭、プラチナ貨幣の売却は金貨買取本舗へ。

お役立ちコンテンツ