国のシンボル、フラミンゴがデザインされたバハマドル金貨について紹介
世界の国々は、自国を端的に表すシンボルとして、国旗や国章以外に国花や国鳥を持っています。それらのシンボルは通貨や公式文書などに盛んに使われており、なかには、スイスのエーデルワイスや、アメリカのハクトウワシなど法律で国花、国鳥を明文化し定めている国も少なくありません。
しかし、法的な規定の有無に関係なく、それらのシンボルが国の文化や国民の思想に大きく影響を与えてきたことは事実です。単なるシンボルではなく、国民そのものと言っても過言ではないでしょう。
今回紹介するバハマの金貨にデザインされたフラミンゴも、バハマでは国鳥として扱われており、熱心な保護活動が行われています。
基本情報
| 発行国 | バハマ |
| 発行年 | 1981年 |
| 素材 | K22(.917) |
| 額面 | 50バハマドル, 100バハマドルなど複数の額面が存在 →バハマドルはアメリカドルと等価で取引される |
| 重量 | 約 39.94 g(100ドル金貨の場合) |
| 図案(表) | ・向かい合う2羽のカリブフラミンゴ(Caribbean Flamingo) ・背景には太陽が昇り、光が水面を照らす →水面の波紋と植生が描かれ、自然の豊かさを暗示 |
| 図案(裏) | ・エリザベス2世の肖像(当時の宗主国の象徴) |
バハマドル金貨に刻まれたフラミンゴのデザインは、単なる美術的モチーフに留まりません。海と大地、つまりは雄大なカリブの自然を表したバハマの国章にも通じる国民的な意味を持ったデザインと言えるでしょう。
また、フラミンゴのくちばしが互いに寄り添う構図は「平和と繁栄」の象徴でもあり、バハマの今後の未来を指し示すかのようなデザインとなっています。
フラミンゴとバハマの関係
国鳥として選ばれる鳥は、多くの場合、その国ないしは地方の固有種です。バハマの国鳥であるフラミンゴも、バハマ南端のイナグア島に世界有数の繁殖地を持つことから、国鳥として選定された経緯があります。
まずは、バハマの自然とアイデンティティを象徴する存在ともいえる、フラミンゴとバハマの関係を見ていきましょう。
フラミンゴに込められた意味
バハマ南部のイナグア島は、世界最大級のフラミンゴ繁殖地です。約6万羽以上の生息数が確認されており、国定公園として保護されているほか、ラムサール条約にも登録されています。
また、フラミンゴの鮮やかなピンク色や優雅な佇まいは、自然を全面に打ち出したバハマの観光イメージとしても広く用いられており、「トロピカル」「島の自然美」と言ったシンボルにもなっています。
これを最も強く認識できるのが、バハマの国章です。バハマの国章は、左右にフラミンゴとマーリンが並び、中央にバハマに到着した帆船サンタ・マリア号を描くという図式になっています。
サンタ・マリア号はバハマの歴史のはじまりを、そして、両サイドに描かれた動物たちは、フラミンゴは陸の代表を、マーリンは海の代表を示しており、つまりは、バハマの豊かな自然と生態系の調和を表すものです。
つまり、バハマにとってフラミンゴは単なる鳥という範疇を超え、国家のあり方を示す存在であると言っても過言ではないでしょう。
バハマのフラミンゴ保護活動
現在、バハマの観光パンフレットや地域プロモーションでは、フラミンゴが積極的に用いられており、国内外の観光における顔となっています。また、政府や大使館も国鳥として公式に位置づけています。
そんなフラミンゴですが、実は羽毛を目的といた乱獲と島内の塩田開発によって、1950年代初頭には「絶滅した」と言われるほどに、記録が途絶えてしまっていました。
しかし、1955年。英国王立鳥類保護協会と連携し、調査を続けていたバハマ政府は、ついにイナグア島に生き残ったフラミンゴの群れを見つけます。その数は、わずか5000羽。今度こそ、絶滅を覚悟しなければならない羽数であったフラミンゴに対し、バハマは怒涛の保護活動を展開しました。
1959年にバハマ国立信託法を制定、イナグア島をバハマの国立公園第1号に制定します。監視員が在中し捕獲が禁止されたほか、繁殖地である島自体の開発を制限するなど、個体数を戻す取り組みが行われます。
その結果、50年代には5000羽まで落ち込んでいた個体数は、70年代には4万羽程度まで増加するという、もはや奇跡というほかないV字回復を成し遂げました。
もちろん、この奇跡の裏には、政府だけではなく保護活動に積極的に参加した企業や国民の努力もあるでしょう。それほどに愛され、「絶滅からの復活」の物語を背景に持つフラミンゴは、言うなれば「国家の再生」を象徴する存在と言えるでしょう。
フラミンゴの生態
その独特なフォルムから、動物園でもよく見かけるフラミンゴ。現在、日本国内においては約80か所の動物園で飼育されており、体色も相まって展示に彩を添えています。次は、意外と知らないフラミンゴの不思議な生態に迫っていきましょう。
実は潜水性の水鳥のなかま
フラミンゴというと、長い脚で水辺を歩く姿が有名です。また、長い首も特徴ではないでしょうか。その姿は、どこか日本のタンチョウヅルやサギを思い起こさせます。そのため、昔は多くの科学者たちがフラミンゴをツルのなかに分類していました。
しかし、1970年代以降、DNA鑑定や構成たんぱく質などの解析により、フラミンゴはツルやサギではなく潜水する水鳥であるカイツブリに近いことが分かりました。確かに、ツルやサギも新鳥類と呼ばれるグループに属するため、遠縁と言えなくもありませんが、フラミンゴは独自のフラミンゴ目として現在は扱われています。
ところで、本来はまったく別の種である鳥がかつては同じ分類にされるほどに似通ったのは、水辺で生活することに適した形へお互いに進化した結果と考えられています。
ただ、雑食であるツルとは異なり、フラミンゴは主に水中のプランクトンを捕食しています。そのため、くちばしがプランクトンを水から漉し取るように進化しているほか、足に水かきが存在することが大きな違いです。
実はフラミンゴは赤色ではない?
フラミンゴの羽の色といえば、鮮やかな赤色です。非常に目立つ色のため捕食されるリスクが高いように思われますが、フラミンゴ自体が大型の鳥類であるため、成鳥が捕食されることはかなりのレアケースです。
そんなフラミンゴの特徴ともいえる鮮やかな体色ですが、実は生まれつきのものではありません。
フラミンゴの羽の色は、食べ物に含まれるアスタキサンチンやカンタキサンチンなどのカロテノイド色素が沈着した結果によるものであり、言ってしまえば、シャケの身が赤いのと同じ理由です。
バハマのフラミンゴは藍藻類や赤色の甲殻類を豊富に食しています。そのため非常に鮮やかな発色の赤色をしていることが特徴です。それに対して、ほかの地域のフラミンゴは、それほどアスタキサンチンを摂らないため、白っぽい色をしています。
バハマ金貨の買取なら金貨買取本舗へ
鮮やかなフラミンゴが描かれたバハマ金貨は、南国らしい優美で自然を意識した意匠から人気を集めています。特に発行年代や保存状態によっては、想像以上の評価額になることも少なくありません。
金貨買取本舗では、豊富な取引実績と専門的な知識をもとに、国内外の相場を反映した適正価格で査定いたします。コレクション整理や資産見直しの際には、ぜひ信頼の金貨買取本舗をご利用ください。