アメリカ合衆国建国200周年金貨と2人の偉人
多くの人々にとって、国の生まれた日は非常に重要な記念日です。
国は自分のアイデンティティの根幹であり、人々の団結の証でもあります。それが長い戦いの末に勝ち取ったものとなれば、その重要性は計り知れません。
そのため建国を記念した貨幣というのは、洋の東西を問わず世界中数多く存在します。その中でも今回はクック諸島が発行したアメリカの建国200年記念を祝う記念貨幣を紹介します。
基本情報
発行国 | 英連邦クック諸島 |
作成 | アメリカの民間造幣局 フランクリン・ミント |
発行年 | 1976年(アメリカ建国の1776年から200年) |
素材 | 純金90%(0.900) |
額面 | 100ドル |
重量・直径 | 9.6 g / 直径:26 mm |
図案(表) | エリザベス2世 |
図案(裏) | ジョージ・クック(海洋探検家) ベンジャミン・フランクリン(アメリカ建国の父) |
裏面には、クックとフランクリンの両名と並び、Bicentennial Coin(バイセンテニアル・コイン)と刻まれています。「Bicentennial」は、英語で「200周年記念」を意味する言葉であり、どの国も記念イベントや記念貨幣を発行するのが通例です。
新時代を築いたクックとフランクリンの肖像、刻まれた1776と1976の2つの年、そして、Bicentennialの刻印からは、アメリカ200年分の歴史を重みをうかがうことができます。
また、この2人は同時期に活躍した人物でもあります。
西洋と太平洋諸国の接触の象徴であるジェームズ・クックと、アメリカを独立国家へと導いた立役者であるベンジャミン・フランクリンの対比は、まさに「新時代」の幕開けの象徴と言えるでしょう。
世界を変えた探検家 ジェームズ・クック
18世紀に活躍したイギリスの探検家、ジェームズ・クックは、近代地理学と航海術に大きな革新をもたらした人物です。
彼の航海は、単なる領土拡大の手段にとどまらず、科学的探究と正確な地図作成を目的としたものでした。
南太平洋域の島々を西洋に紹介し、地球の理解を飛躍的に高めた功績は現代でも高く評価されており、各地に地名として記憶されています。
世界を「発見」した男
ジェームズ・クックは元々はイギリス海軍士官でした。しかし、優れた測量技術や航海術を持っていたことから、イギリスの南方大陸探索隊に抜擢され、太平洋を中心に3回の大規模な航海を行っています。
1766年の初航海では、金星の観測とともにニュージーランドやオーストラリア東岸を測量し、数々の南太平洋の島々をヨーロッパへと報告。イギリスのオーストラリア大陸進出を大きく後押しすることとなりました。
続く第2回の航海では、ヨーロッパ人としてはじめて南極圏を航行。高精度な海図作成により、未知の南方大陸の存在を否定したほか、航海術の発展にも大きく貢献しました。
その功績は大きく、現代においても「近代探検の象徴」として世界的に評価されています。
世界に刻まれた名前
ジェームズ・クックの名前は、今もなお世界各地の地名に刻まれています。
今回紹介した記念硬貨を発行しているクック諸島もその1つです。19世紀初頭、ロシアの地理学者クルーゼンシュテルンが「クック諸島」と命名したのが始まりとされています。
また、ニュージーランドのクック山やクック海峡、アラスカのクック湾など、彼を名祖とする地名は世界中に数多く存在します。
こうした地名はいずれも、クックの航海と発見が地理的にも文化的にも深い影響を及ぼした証と言えるでしょう。
多才な政治家 ベンジャミン・フランクリン
クックが世界を再発見していた頃、アメリカ大陸では独立の気運が高まっていました。そのアメリカ独立に多大な貢献を果たした政治家の1人が、ベンジャミン・フランクリンです。
現在のアメリカの100ドル札にも肖像画が描かれており、彼の生き方は、アメリカの実用主義精神を象徴する存在として、現代に至るまで尊敬を集めています。
アメリカ建国の父として
ジャミン・フランクリンは、元は出版業で財を成した人物です。その後、フィラデルフィアで郵便局長を務めたほか、図書館を設立するなど啓蒙思想の普及を行っていました。
その後、1776年にはジョン・アダムズやトーマス・ジェファーソンらとともに、独立宣言の起草委員会に参加、独立に向けた理念を文章としてまとめ上げました。
また、独立戦争中には外交官としてパリに滞在し、欧州列強との外交交渉に臨みます。
特に、最大の功績とも言えるのがフランスとの同盟締結です。参戦に消極的であったフランス政府に対し巧みなユーモアで魅了し、経済的・軍事的支援を獲得することに成功します。
この同盟により趨勢は一気にアメリカ側へと傾きました。フランクリンがいたからこそ、同盟締結も成り、アメリカが独立を果たすことができたといっても過言ではないでしょう。
フランクリンの知られざる素顔
そんな政治家や外交官としての活躍ばかりが注目されるフランクリンですが、実は自然科学や発明の分野でも優れた才能を発揮し、数々の業績を残しています。
特に有名なのが「凧の実験」です。雷を伴う嵐の中で凧を上げ、その実験結果により雷が電気であることを証明しました。
この実験により、フランクリンはイギリスの王立協会の会員となったほか、避雷針を実用化し、火災防止に大きく貢献しました。
また、室内暖房効率を高めるフランクリンストーブや遠近両用眼鏡など生活に密着した発明のほか、グラスハーモニカのような楽器も発明しています。
それ以外にもサマータイムを提唱したり、気象予報を行うなど、知識を実行に移すことを信条とした彼の生涯は、単なる多才さを超えた「知の実践者」として今も尊敬され続けています。
歴史を感じる1枚を
18世紀の終わりに活躍した二人の偉人を称え、新時代への期待を込めて発行されたクック諸島のアメリカ合衆国建国200年記念硬貨。
単なる周年記念の証にとどまらず、「これまで」と「これから」を結ぶ特別な一枚です。その歴史的価値や希少性はコレクターの間でも高く評価されています。
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