コロン金貨とは? 実は珍しい由来の通貨の名前
中央アメリカに位置するコスタリカ。
日本人にとっては、コーヒー以外あまりなじみのない国ですが、コーヒーとバナナを中心とした農業に、近年はIT産業などで目覚ましい経済発展をとげています。
そんなコスタリカでかつて発行されていたのが、コロン金貨です。
現在でもコスタリカの通貨である「コロン」ですが、実は世界的に見ても珍しい由来を持つ硬貨です。
基本情報
発行国 | コスタリカ |
発行年 | 主に1897?1917年など(複数の年に発行) |
素材 | 金(Au 0.900) |
額面 | 硬貨による |
重量・直径 | 約 3.37 g / 直径 約 18 mm |
図案(表) | クリストファー・コロンブス |
図案(裏) | コスタリカ国章(盾・山・船など)、REPUBLICA DE COSTA RICA、BANCO CENTRAL DE COSTA RICA |
裏面の「BANCO CENTRAL DE COSTA RICA」は、スペイン語で「コスタリカ中央銀行」を意味し、この金貨が国家によって製造されたものであることを示しています。
また、表面の肖像画はアメリカ大陸を発見したコロンブスです。一般的に歴史の教科書で見かけるコロンブスとは違い、老成した雰囲気の漂う探検家の横顔が刻まれています。
コロンの名前の由来とは?
現在でもコスタリカの通貨として流通しているコロンは、実は世界的に見ても数少ない人名に由来する通貨名です。
まずは、コロンの名前の由来について解説していきましょう。
コロンの名前の由来は、「コロンブス」
コスタリカの通貨であるコロン、正式名称コスタリカ・コロンの名前の由来は、この金貨の図案にもなっている冒険家のクリストファー・コロンブスが由来です。
日本では、英語の「Columbus」から「コロンブス」と呼ぶことが一般的ですが、彼の名前はスペイン語では、ずばり「Colon」であり、そのまま名前がつけられています。
実は、世界の通貨を見ると、コロンのように人名に由来する通貨名称は、他にはベネズエラやボリビアの「ボリバル」、そして、パナマの「バルボア」くらいで、数えるほどしか存在しません。
人名に由来する通貨名というのは、非常に珍しい部類と言えるでしょう。
各国の通貨の名前の由来とは?
では、世界の通貨の名前は、何に由来するのでしょうか。
まず1つは、重さの単位に由来するものです。歴史を紐解けば、元々貨幣には決まった重さの貴金属を使用していました。
このことがきっかけで重さと通貨の単位が同じ名前になったとされています。
代表的な例としては、イギリスの「ポンド」が最も分かりやすいのではないでしょうか。それ以外にもトルコの「リラ」、メキシコの「ペソ」やタイの「バーツ」などが重さの単位に由来します。
ほかには、現地の言葉で「貴金属を意味する言葉」から取られたものも少なくありません。
たとえば、ウズベキスタンの「スム」は、元々中央アジアで話されるトゥルク語系で金を意味します。これ以外にもインドの「ルピー」はサンスクリット語で「練銀」という意味です。
また、各国の文化に由来するものもあります。その代表が日本や中国の漢字文化圏です。
これらの国では貨幣の形から「圓」が通貨の名前として採用されました。その後、日本は簡略化し「円」に、中国は同音の「元」をその名前に当てましたが、本質的には同じものです。
それ以外には、かつて使われていた通貨の名前に由来します。
中世ヨーロッパで流通していた「ターラー」銀貨に由来するアメリカの「ドル」や、イスラーム帝国で使われた「ディナール」銀貨に由来するアラブ諸国の「ディナール」なども存在します。
また、変わり種として、スウェーデンの「王冠」を意味する「クローナ」やスペイン語で「王国」を意味する「レアル」といった、貨幣とのつながりが見えてこない由来が不思議な名称も少なくありません。
中米の金脈
かつて、コロンブスが新大陸を目指したのは、ヨーロッパでは掘りつくされた金や銀鉱山を新たに見つけるためだったともされています。
事実、中南米で発見された数々の金や銀の鉱山は、世界の商業や国家間のパワーバランスさえも大幅に塗り替えました。
しかし、そんな歴史とは逆のコスタリカの金採掘について解説します。
コスタリカの金採掘
コスタリカの首都サンホセには、2万点以上の先住民の金細工を収蔵した黄金博物館があります。
同国の冶金技術は南米からコロンビア、パナマを経て、交易などを通じて伝わったとされており、展示品にはカエルや鳥のように生き物を象ったものも少なくありません。
所蔵品のなかには、最古のもので3世紀頃に作られたとされるものもあり、それほど古くから金を扱う文化があったことがうかがえます。
しかし、黄金郷のような世界がコスタリカにあったかと言われると、そういうわけではありません。
コスタリカでの金の入手方法は、主に交易や砂金採りが主であり、歴史が進みスペイン統治下に入った後も、いくつかの中小規模の鉱山を手掘りする程度に留まりました。
奴隷を使った大規模な鉱山開発が行われたペルーやメキシコとは対照的です。
また、採掘された金もわずかであったため、ヨーロッパへの送金に使われた程度とされており、決して世界を変えるほど力を持つには至りませんでした。
現在のコスタリカと金
コスタリカで金採掘がいよいよ本格化しはじめたのは、鉱山開発が機械化・大規模化した19世紀から20世紀初頭にかけてのことです。
海外資本の流入により、鉱山開発が活気づくこととなります。
中南米にはペルーやメキシコのように大規模な金鉱脈を持つ国が多く、そのなかで手つかずだったコスタリカに注目が集まるのは自然な流れであったと言えるでしょう。
しかし、実際に開発を進めたところ、年間産出量は数百kg程度と非常に少なく、ペルーやメキシコとは到底比べ物になりませんでした。
その結果、コスタリカでは金は主要な輸出品とならず、コーヒーやバナナといった農業中心の経済が発展することになります。
現在でも小規模ながら金鉱山の開発は続けられていますが、2010年には新規鉱山での露天掘り採掘が法律で全面禁止されるなど、近隣諸国とは異なる動きがあることも事実です。
これは開発が思うように進まない事情もありますが、それ以上にコスタリカ政府が生態系保護や自然資源の保存を重視している姿勢によるところが大きいといえるでしょう。
自然との共存を望む姿は、まさに先住民たちが思い描いた人間のあるべき姿なのかもしれません。
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