ハンガリーが誇る歴史あるフォリント金貨を紹介
古くから国家の勃興を繰り返してきたヨーロッパでは、特徴のある貨幣がいくつも生まれました。各地の領主や修道院、商業ギルドなども貨幣を発行していたため、記録に残るだけでも2000種類以上とされています。
これらの多くは、狭い地域だけで流通するものでしたが、高い品位や国家の信用を背景に国際的な取引にも使われるようになった貨幣も少なくありません。
今回紹介するハンガリーのフォリント金貨もそのうちの1つです。
基本情報
| 発行国 | ハンガリー王国 |
| 発行年 | 複数(14世紀から19世紀末まで) |
| 素材 | 金 約0.986 |
| 額面 | 500 フラン |
| 重量 | 約3.5g |
| 図案 | 発行時期による。基本的には当代の国王の肖像。 裏面には初代国王イシュトヴァーン1世の王冠と聖杖が描かれることが一般的。 |
現在のハンガリーの通貨名にもなっているフォリントは、もともとかの地に栄えたハンガリー王国で流通していた金貨に由来します。
なかでも、中世に発行されたフォリント金貨は、単純な金の価値のみならず歴史的・美術的価値が極めて高く、保存状態や発行年によっては、数十万円から百万円を超えることも珍しくありません。
また、比較的目にするオーストリア=ハンガリー帝国時代のフランツ・ヨーゼフ1世のフォリント金貨は、流通量が多いものの、ヨーゼフ1世の人気もありコレクター向けとして注目されています。
フォリント金貨の歴史について解説
フォリント金貨は、世界の貨幣史の中でも特に長寿命の貨幣です。
国が滅びれば貨幣も一緒に新国家に駆逐されるのが常ですが、金貨自体が高品質であったことから、14世紀から実に500年、デザインの変更はあったものの同じ通貨が発行されています。
これより長いのは、イギリスのソブリン金貨程度しか存在せず、世界でも有数の歴史を持つ金貨と言ってよいでしょう。そんな金貨の歴史を見ていきましょう。
フローリンからフォリントへ
フォリントは、元々、イタリア・フィレンツェ共和国が1252年に発行したフローリン金貨に由来します。
フルール・ド・リスのデザインが特徴的なフローリンは約3.5gと少量でありながら高い純度を誇る金貨であり、フィレンツェ商人たちの活躍も相まって、国際通貨としての地位を確立していました。
それと前後して、ハンガリー王国では金鉱山の開発が進められており、この金を元にアンジュー朝のカーロイ1世は1325年にフローリンを模倣した金貨を鋳造します。これが、以後500年続くフォリント金貨の始まりです。
そのままであれば、フォリント金貨はハンガリーという東欧の一国家で使われる金貨で終わっていたでしょう。
しかし、国内で採掘された豊富な金は、ハンガリーをヨーロッパ有数の金産出国へと押し上げます。
その結果、ハンガリーはフォリント金貨を金純度98%という高純度・高品質で安定して発行することが可能になりました。
元のフローリン金貨にも負けない純度と信頼性から、フォリント金貨もまた当時の欧州における主要国際通貨の1つとして数えられるようになっていきます。
ハプスブルク帝国の統一通貨として
栄華を極めたハンガリーでしたが、1526年に起きたモハーチの戦いでハンガリーはオスマン帝国に敗北。さらには国王のラヨシュ2世の戦死により王家が断絶、その王冠はハプスブルク家が継承することになります。
この混乱の結果、ハンガリーの国土はオスマン帝国の直轄領、ハプスブルク家の保護領、新しく生まれたトランシルヴァニア公国で三分割統治されることとなります。
国の崩壊と同時にフォリント金貨も歴史に消えていく、かと思いきや200年にわたり発行されていたという歴史と信頼性は微塵も揺らぐことはなく、そのまま取引に使用され続けます。
また、中欧諸国の経済的な実利を考慮した結果、ハプスブルク家の保護領となった王立ハンガリーでは、発行主体こそハプスブルク家の本拠地であるウィーンに移ったものの、引き続きフォリント金貨が発行されることとなりました。
その後、オーストリアではマリア・テレジアの時代に国内の通貨が統一されたものの、同じウィーンで発行されていたフォリントは統合されることなく、その後もハンガリーの通貨として使われ続けることとなります。
このときすでに400年近く使われ続けた伝統と信頼のある通貨を消し去ることは、さすがの女帝もできなかったということでしょう。
そして、そのまま19世紀のオーストリア=ハンガリー二重帝国成立まで、フォリントは正式な貨幣として残り続けました。このとき発行された代表的な金貨が、当時の国王フランツ・ヨーゼフ1世の肖像を刻んだものです。表面にハプスブルク家出身の王の肖像と裏面にハンガリーの王冠が刻まれた金貨は、投資・貯蓄目的でも広く利用され、現在でも人気です。
消滅と復活の貨幣
長きにわたる実績を積み上げていたフォリント金貨ですが、イギリスやフランスを筆頭とした近隣の大国が続々と金本位制度を導入するなか、二重帝国も国際貿易の場に参入するためには金本位制度の導入が必須でした。
1892年に金貨法を制定すると金本位制度に対応した新貨幣「クローネ(ハンガリー名:コロナ)」を導入、ここに500年以上続いたフォリント金貨は消滅することとなります。
しかし、その後、第一次世界大戦の敗戦によりオーストリア=ハンガリー帝国が崩壊。それに伴い、ハンガリーは独自通貨として1927年に新貨幣「ペンゲー」を導入します。
そのペンゲーもまた、第二次世界大戦後の混乱により貨幣価値が大暴落。その混乱を鎮めるため、新貨幣として1946年に「フォリント」を導入します。
このときのフォリントは金貨ではなく、管理通貨制度に基づく法定通貨ですが、それでも500年以上発行され続けたハンガリーの血とも言えるフォリントが復活することとなりました。ハンガリーはEU加盟国ではありますが、ユーロは導入せずそのままフォリントを使い続けています。
また、近年のハンガリー国立銀行は、歴史的人物や建国記念などの記念フォリント金貨をいくつか発行しています。これらは純度.999の高品位金を使用した、芸術性の高いデザインが特徴で、コレクターの間でも人気です。
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長い歴史を持つフォリント金貨は、ハンガリーの経済や文化を象徴する貴重な金貨です。年代やデザインによって高額査定となるケースも多く、コレクター需要も根強くあります。
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