「パンダ金貨を購入したけれど、本物か不安」「偽物が多いと聞いて心配」という声は年々増えています。
近年、中国国内だけでなく日本のオークションサイトやフリマアプリでも精巧な偽物パンダ金貨が出回っており、一見本物と区別がつかないほどの模造品も存在します。
本記事では、実際に当店が査定したなかで見つかった偽物パンダ金貨の事例を交えながら、本物との違い・見抜き方・注意点をわかりやすく解説します。
購入前の知識として、また手元にあるパンダ金貨の真贋確認にお役立てください。
パンダ金貨とは?本物の基本情報と人気の理由
パンダ金貨は、中国造幣公司が1982年から毎年発行している投資用金貨です。正式名称は「中国熊猫金幣(チャイナ・パンダ・ゴールド・コイン)」で、世界的にも高い人気を誇る地金型金貨の一つです。
パンダ金貨の主な仕様は以下の通りです。
| 発行国 |
中華人民共和国 |
| 純度 |
K24(純金) |
| 重量 |
1oz(31.103g)、1/2oz(15.552g)、1/4oz(7.776g)、1/10oz(3.110g)、1/20oz(1.555g) |
| デザイン |
表面は天壇、裏面は毎年変わるパンダのデザイン |
毎年デザインが変わる
パンダ金貨最大の特徴は、裏面のパンダのデザインが毎年変更される点です。これにより、各年号ごとに異なるコレクター価値が生まれ、単なる投資用金貨以上の人気を獲得しています。
特に発行枚数が少ない年代のものや、デザインが人気の年号は、プレミア価格で取引されることもあります。
投資対象・資産保全としての価値
パンダ金貨は世界五大地金型金貨(他にカナダのメイプルリーフ金貨、オーストリアのウィーン金貨、オーストラリアのカンガルー金貨、南アフリカのクルーガーランド金貨)に数えられ、流動性の高い投資商品です。
純度が高く、国際的な信用もあるため、資産保全の手段としても選ばれています。
偽物が多い理由
パンダ金貨に偽物が多い理由は、その人気と市場規模にあります。
中国国内での需要が非常に高く、さらに日本を含む海外でも投資家やコレクターに支持されているため、偽造による利益が大きいのです。
また、個人間取引やオークションサイトでの流通が増えたことで、偽物を掴まされるリスクも高まっています。特に投資初心者は、相場より安い価格に惹かれて偽物を購入してしまうケースが後を絶ちません。
【実例あり】実際に査定現場で発見された偽物パンダ金貨の特徴
ここでは、実際に当店にお持ち込みいただいた偽物のパンダ金貨について、具体的な特徴と見抜き方をご紹介します。

画像は、過去に弊社にお持ち込みのあった「偽物のパンダ金貨」の写真です。
化粧ケース入りの5枚セット(1oz、1/2oz、1/4oz、1/10oz、1/20oz)で、すべて偽物のパンダ金貨となります。
実際に本物の金貨と比較すると、写真の通り厚みの違いが一目瞭然ですが、今回のお客様は袋に入れたまま開封せずに大事に保管されていたため、偽物に気づかなかったようです。
左:偽物のパンダ金貨、右:本物のパンダ金貨
さらに詳しく調べるため、偽物の金貨を切断してみたところ、外側は金メッキで中身が銅という構造になっていました。表面の金色に対し、断面を見ると明らかに銅の赤茶色が確認できます。

その他にも査定の際に気づいた違和感について解説していきます。
重さの違和感
見た目の大きさに対して、手に取ったときにどこか「軽い」と感じたのが最初の違和感でした。
これは、金属の密度の違いに原因があります。
金の密度は約19.3g/cm3であるのに対し、銅は約8.9g/cm3と半分以下しかありません。そのため、中身が銅で外側だけ金メッキされた偽物は、金に比べて内部が軽いため“持ち上げた際に軽く感じる”のです。
しかし、今回の偽物は重量を本物に近づけるために厚みを増して作られていたため、実際に測ると16.84gと、正規の1/2ozパンダ金貨の重量である15.552gよりもむしろ重いという結果でした。
このように、本来の金貨の重量と実際の重量の数値が一致しない場合は、構造そのものが本物とは異なっている可能性が高く、偽物である可能性が高いと言えます。

作りの違和感

画像は偽物の1ozパンダ金貨と同年に製造された本物のパンダ金貨の比較写真です。
本物とよく見比べてみると、偽物には以下の特徴が見られます。
- パンダの毛並みの彫刻が粗い
- 文字の刻印がぼやけている
- 表面の光沢や質感に微妙な違いがある
本物のパンダ金貨は、パンダの毛並みや北京天壇の細部まで極めて精緻に刻まれていますが、偽物は線が太かったり表面の仕上げが粗かったりと、細部の再現が不十分です。
見た目の違いは金貨をケースから取り出さずに判別できる要素ですので、違和感を抱いた場合は同年に発行された本物の金貨と見比べてみてください。
実物があれば実物、なければ写真をよく見比べるだけでも違和感に気づくはずです。
比重検査と試金石検査での判定
今回の偽物は、比重検査でも明らかに数値が低く、試金石検査でも本物の金とは異なる反応を示しました。
このレベルになると、付属のケースや保証書の確認以前に、物理的な検査で即座に偽物と判断できる状態でした。
本物と偽物はここが違う!家庭でできる5つのチェックポイント
パンダ金貨の真贋を見分けるための5つのチェックポイントを、表形式でまとめました。
| チェック項目 |
本物の特徴 |
偽物の特徴 |
| 1.重量・直径 |
公定規格どおり(例:1oz=31.103g、直径約32mm) |
数値が微妙にズレる、または大幅に異なる |
| 2.刻印・デザイン |
文字・図案が鮮明で位置も正確 |
フォントのズレ、ぼやけ、線の粗さが目立つ |
| 3.音響 |
純金特有の「キーン」という澄んだ高音が長く響く |
音が鈍く短い。「ゴツン」とした響き |
| 4.磁石を近づける |
本物の純金なら磁石にくっつかない |
磁石にくっつく=純金ではない |
| 5.保証書・ケース |
中国造幣公司発行の純正ケース・印刷精度が高い |
無印、印刷の粗さや質感の違いあり |
上記のチェック項目はあくまで一般的な目安であり、これだけで真贋を保証するものではありません。
複数の項目を組み合わせて総合的に判断することが重要です。
いずれか一つでも「偽物の特徴」に該当した場合は、専門鑑定機関や信頼できる買取店での査定を推奨します。
1. 重量・直径の確認
デジタル秤とノギスで計測し、公定値(例:1/2oz=15.552g)から±0.5g以上のズレがある場合は要注意です。
2. 刻印・デザインの確認
10倍ルーペを使用して、「Au.999」「中華人民共和国」などの刻印、パンダの毛並み・目・鼻・天壇の細部を観察しましょう。
本物は彫刻線が滑らかで精密なのに対し、偽物は線が粗く、輪郭がぼやけて見えます。
3. 音響テスト
金貨を机の少し上から落とし、音の響きを確かめてみてください。「キーン」と高く澄んだ音が鳴るのが純金の特徴です。鈍く短い音しか出ない場合は、密度の低い金属の疑いがあります。
金貨を落として音の検査をする際は、金貨にキズが付かないように注意してください。
4. 磁石を近づける
純金は非磁性金属であり、磁石には一切反応しません。
そのため、パンダ金貨に磁石を近づけた際に「くっつく」「引き寄せられる」といった反応が見られる場合は、内部に鉄・ニッケルなどの金属が含まれた偽物の可能性が高いと判断できます。
ただし、銅や銀を芯に使った偽物は同じく磁性を持たないため、「磁石に反応しなかった=本物」とは断定できません。
磁石テストはあくまで簡易的なチェック方法のひとつとして活用し、必ず他の検査項目(重量・刻印・音響・比重など)と組み合わせて総合的に判断することが重要です。
5. 保証書・ケースの確認
付属品がある場合は、付属品の状態も大事なチェックポイントです。
中国造幣公司発行の正規ケースは印刷の精度が高く、紙質も上質なものが使用されています。一方コピー品は印刷が甘く、光沢や厚みが劣ります。
なお、ケースだけ本物で中身が偽物という事例も確認されているため、付属品の状態だけで真贋を判断するのは危険です。
偽物を掴みやすいシチュエーションと注意点
1.個人間取引・フリマ・オークション
実際に当店への相談で多いのが、「メルカリで購入した」「ヤフオクで落札した」「海外のオークションサイトで買った」というケースです。
個人間取引では、出品者自身が偽物と知らずに販売している場合もあれば、確信犯的に偽物を本物として販売している悪質なケースもあります。
写真だけでは真贋を見抜くことは困難です。特に以下のような出品には注意が必要です。
- 商品写真が不鮮明、または一方向からしか撮影されていない
- 重量や直径などの具体的なデータが記載されていない
- 出品者の評価が少ない、または悪い評価がある
- 「すり替え防止のため返品不可」などの記載がある
2.「格安販売」に要注意
市場相場より極端に安い価格でパンダ金貨が販売されている場合、偽物の可能性が高いです。
金の相場は国際的に決まっており、本物の金貨が相場を大きく下回る価格で販売されることはほとんどありません。
投資初心者は「お得な買い物ができた」と喜んでしまいがちですが、これは偽造業者が最も狙っているターゲット層です。
3.保証書・ケースだけ本物というケースも
最も巧妙な手口が、本物のケースと保証書を用意し、中身だけ偽物にすり替えるという方法です。ケースが純正品だと安心してしまい、金貨本体の確認を怠ってしまうケースがあります。
過去には、「密閉されたケース入りで購入したので安心していた」という相談もありましたが、査定してみると中身は偽物だったということがありました。
ケースの封印シールも偽造できるため、最終的には金貨本体の物理的な検査が必要不可欠です。
まとめ:実例から学び、本物を見抜く目を養おう
パンダ金貨の偽物は年々精巧化しており、見た目だけでは真贋を見極めるのが困難になりつつあります。
実際の査定現場でも、「本物だと思って持ち込まれたが、調べてみると偽物だった」というケースは決して珍しくありません。
パンダ金貨の真贋は、見た目・重量・刻印・音響・磁石など複数の観点から総合的に確認することが重要です。
また、こうした自己チェックに加え、専門店での無料査定を受けることも大切です。正確な鑑定機器や比重測定器を備えた専門業者であれば、短時間で確実に真贋を判定できます。
近年は金相場が過去最高水準に高騰しており、手元の金貨を査定に出すタイミングとしても今が好機と言えます。
大切な資産を守り、同時に価値を最大限に引き出すためにも、信頼できる専門店での真贋確認と査定相談をぜひ活用してください。
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