ネコ好きならば欲しい、マン島キャット金貨について解説
皆様、ネコはお好きでしょうか。その愛くるしさ、独特の気高さを持つネコは文明を問わず世界中で飼われている代表的なペットです。ちなみに日本では昨今の社会情勢もあり、ややネコ派の方が優勢です。
今回は、そんな全世界のネコ好きたちへ向けて、マン島のキャット金貨を紹介します。
基本情報
| 発行国 | マン島(イギリス王室属領) |
| 発行年 | 1988年~2012年 |
| 素材 | 99.99%(K24) |
| 額面 | 1クラウン |
| 重量 | 31.10g |
| 図案(表) | エリザベス2世の肖像 |
| 図案(裏) | ・1988年はマン島特有の尻尾のない猫であるマンクスキャット →その後は世界各地の猫が題材に選ばれ、毎年異なる猫のデザインが登場 |
キャット金貨は名前の通り、ネコがデザインされた金貨です。猫という親しみやすいモチーフと年ごとのバラエティ豊かなデザインが魅力で、コイン収集家のみならずネコ好きにも直撃するコインとなっています。
地金の価値はもちろんですが、全24種すべて別のネコがデザインされていることから、コレクションとしての価値も高く、世界中で人気の逸品です。
キャット金貨が変えた貨幣のデザイン
キャット金貨は「ネコがカワイイ」という単純な話に留まらない、極めて重要な意味を持つ金貨です。
この金貨は、従来までの通貨に対する概念を拡張し、新しいデザインの地平を切り拓いたと言っても過言ではありません。後年のコレクション金貨に続く、キャット金貨の意味を考えていきましょう。
1980年代に解禁された題材モノ金貨という発想
貨幣のデザインといえば、洋の東西や年代を問わず、その国の歴史的偉人や国家元首が選ばれることが一般的です。貨幣はその国の文化を示す、いわば鏡のような存在です。そのことを考えれば、デザインになる人物や意匠には相応の格が求められるのは至極当然のことでしょう。
そのような状況の中、南アフリカのクルーガーランド金貨が成功します。
投資のための地金型金貨であったクルーガーランド金貨は、日常的な買い物や商取引には出回りません。ここで各国は「投資用の金貨であれば、自由なデザインができるのではないか」と気が付きます。そして、購買意欲を刺激するためにシリーズものやとあるテーマに沿ったデザインの金貨発行を模索しはじめました。
毎年、異なるデザインを出すオーストラリアのカンガルー金貨(1986~)や中国のパンダ金貨(1982~)は、その最たる例です。マン島のキャット金貨も、この流れのなかで生まれた金貨の1つと言えるでしょう。
また、この通貨に対する考え方の変化は、クック諸島をはじめとした小国で、コレクション向けの金貨が発行されるきっかけにもなりました。
ネコという題材の意味
さて、ここからはネコという題材の意味を考えていきましょう。題材として選ぶのであれば、ネコではなくイヌでもよいはずです。さらにいえば、マン島は世界最古の公道レースと言われるマン島TTレースの舞台です。世界各国のバイクメーカーを題材にするという選択肢もあったでしょう。
しかし、ネコであることに金貨の重要な意味があります。
もちろん、猫という選択にマン島独自の「マンクスキャット」の存在は無視できません。ただ、それ以上に、猫が政治的にも宗教的にも中立であることが重要です。猫は特定の思想を象徴せず、愛らしさだけで国境を越える普遍的な存在です。世界に向けて販売するうえで、間違いなくうってつけの題材でした。
また、ネコは世界中にさまざまな種類が存在します。世界のネコをデザインすることで、ネコ好きに「次はどんなネコが来るか」という期待感を持たせます。こうして金貨をシリーズ化するという販売戦略も確立しました。
つまり、キャット金貨は、現代のコレクションを目的としたコインの源流とも言える存在と言えるでしょう。そして、最初に島内独自のネコを選んだことは、小さな島の存在をより世界へ広めることにもつながりました。
キャット金貨に見る現代金貨の販売戦略
そんなキャット金貨ですが、2012年を最後に再販さえされていません。現在、キャット金貨を入手するためにはコレクター向けの市場を見て回るより方法がなく、なかには希少価値も相まって高額取引されているものも少なくありません。
しかし、このシリーズを終わらせるというところにも重要な販売戦略があります。コレクター心理を考えつつ、この販売戦略の意味を考えていきましょう。
終わらせたから生きたキャット金貨
2012年、25枚のシリーズで終わったキャット金貨ですが、ネコという題材を考えれば、まだ多くのデザインが可能なことは間違いありません。国際的な猫の愛護団体には50種以上の猫種が認定されているケースもあり、さらに多くの品種を認定している団体も存在します。売れる題材であるならば、同じ種類のデザイン違いでもよいはずです。
しかし、ここで重要な要素がコレクター心理です。
この金貨は、言うなればネコ図鑑です。つまり、コレクターにとってはデザインの違いも重要ですが、それ以上に揃うかがポイントとなります。それも金貨という高額な商品、一枚で何十万もする品物を、いつまでも買い続けられる気力がある人は、それほど多くないでしょう。
また、キャット金貨の発行の後半、2010年代に入るとエリザベス女王(当時84歳)も体調を崩されることが多くなり、崩御の可能性も取り沙汰されるようになってきました。
そうなると、ネコは一緒、でも、表面の国王の肖像画を変えなければなりません。そうなると、統一のシリーズにも関わらずデザインが異なる、というコレクターの心理としては回避したいことになってしまいます。
そのようなコレクターの考えを見抜き、敢えて終わらせたからこそ、キャット金貨は生きた金貨として今でも世界中の人が追い求めています。
続いたキャット金貨の系譜
キャット金貨は終わりましたが、実はマン島は引き続き同じような金貨を販売し続けています。
中世ヨーロッパのデザインを現代に蘇らせたエンジェル金貨や、イギリスが誇る児童文学の金字塔『ハリー・ポッター』シリーズをモチーフにしたハリー・ポッター金貨は、このキャット金貨の系譜と言えるでしょう。
こちらもさまざまなデザインがありますが、売れるからこそ一定の区切りをつけて終わらせる販売戦略をとっています。だからこそ、多くのコレクター心理に刺さるのでしょう。単純に眺めているだけでも面白いが、揃えることへの達成感は多くのコレクターが望むことです。
金貨を新しい文脈で語ったキャット金貨。その誕生は、世界各国の貨幣政策に少なからず影響を及ぼしています。
マン島キャット金貨の買取は金貨買取本舗まで
マン島キャット金貨は、1988年から2012年まで発行された人気の高いシリーズ金貨です。純金製であることに加え、世界各地の猫を題材にしたデザイン性の高さから、今なお根強いコレクター需要があります。発行が終了しているため、年号や種類によっては評価が上がるケースも少なくありません。
金貨買取本舗では、地金価値だけでなくシリーズ性や希少性も考慮し、丁寧に査定いたします。ご売却をお考えの際は、ぜひ一度ご相談ください。