ソブリン金貨 Sovereign について

ソブリン金貨のソブリンsovereignとは、イギリスの1(スターリング)ポンド金貨の名称です。1ポンド金貨をソブリン(君主)と呼ぶのは、1489年に発行された20シリング(1ポンド)金貨に当時の国王ヘンリー7世が玉座に坐る姿が描かれたことに由来しています。しかし、オーストラリアやカナダなど イギリス本土以外の国々でも発行されているため、ダカット金貨とは違う意味で、このソブリン金貨もたくさんの種類が存在します。

イギリスが金本位制度を採用した1816年貨幣法で制定され、1917年まで国内流通用の貨幣として発行されました。74年からは，地金型金貨(地金価値と大差ない価格で取引される投資向きの金貨)として発行されています。

【ソブリン金貨の歴史】
ヘンリー8世の時代に発行されたソブリン金貨は、22シリング6ペンスとなり、20シリングと等価とされた金貨は200グレインに量目が減らされました。エリザベス1世女王の時代になるとソブリン金貨は大型となり30シリングとされ、これとは別に20シリングの1ポンド金貨が鋳造されました。これらのソブリン金貨は1604年を最後に鋳造が打ち切られました。それ以後、20シリングの金貨はユナイトと称され、王座の君主のデザインではなく、国王の横顔に変わりました。共和制、王政復古を経て1663年にはギニー金貨が発行され、以後19世紀初頭まで、金貨はギニー金貨のみとなりました。

そして、イギリスが金本位制を採用した1816年貨幣法（55 GeorgeIII.c.68）で新しい本位金貨が制定され、これをソブリンと名づけ1817年から鋳造されました。鋳造開始は1817年でしたが、実際に紙幣との兌換(だかん)が開始されたのは1822年でした。

この金貨は唯一の無制限法貨として、1917年まで国内流通用の本位貨幣として発行されました。

【ソブリン金貨の種類】
1817年から鋳造が開始された「ソブリン金貨」の表面は国王の横顔でした。裏にはセントジョージが竜を退治しているデザインがレリーフされ、以後このデザインがソブリン金貨の代表的なものとなりました。この他のデザインとして、楯に描かれた紋章のレリーフされたコインも鋳造されていた時期がありました。当時、イギリス硬貨にはこの金貨を含め、ほとんどの硬貨に額面表示が無く、その大きさと重量で額面を表していました。

*このヤングヘッドタイプの金貨は数多くの刻印を持って鋳造され、1863～74年の間に鋳造されたものには各々の刻印番号が付加されていた。

【ミントマークの種類】
 イギリス本国でだけでなく、イギリス植民地でも広く流通したため、ロンドン王立造幣局以外に次の場所で鋳造されました。これらの硬貨には鋳造所を示す下記のような「ミントマーク」が刻まれているので容易に判別できるようになっています。

• M：メルボルン
• P：パース
• S：シドニー
• C : オタワ
• SA：プレトリア
• I：ボンベイ

【ソブリン金貨の希少価値】
ソブリン金貨は、長期間にわたって大量に鋳造され現存するため、フランスのナポレオン金貨のように、地金型金貨に準じた扱いで取引されています。ヴィクトリア女王のヤングヘッドタイプ以前のものについては、年号によっては非常に希少なものが存在し、高値で取引されています。

下記のソブリン金貨が特に貴重なタイプとなっているようです。

・1819年　ジョージ3世
・1828年　ジョージ4世 - 但し、非常に多くの贋物が存在
・1841年1875年　ヴィクトリア女王　メルボルン鋳造
・1908年　エドワード7世　オタワ鋳造
・1917年　ジョージ5世 - 但し、非常に多くの贋物が存在

【その他】

ソブリン金貨は、フルソブリン金貨、ハーフソブリン金貨(10シリング)、ダブルソブリン金貨、クォーターソブリン金貨と表現されます。

またソブリン金貨は1974年以降、完全な地金型金貨としての発行が現在も続いています。額面の記載はありませんが、1ポンドの法定貨幣です（実際には金地金価格と連動した価格で取引されています）。

イギリス
・500周年記念ソブリン金貨
・ソブリン金貨

オーストラリア
・ソブリン金貨

カナダ
・ソブリン金貨

マン島
・ソブリン金貨