これまで壊れてしまった電子部品や機械部品の処理といえば、スクラップとして捨てることがほとんどでした。
しかし、昨今の鉱山開発に伴う環境負荷や資源の枯渇に対する懸念から、スクラップのなかから貴金属を取り出し、リサイクルするという活動がにわかに広がり始めています。
この記事では、数ある貴金属のなかでも、工業用・産業用に活用されている貴金属の売買に焦点を当てたいと思います。
なぜ今、工業用・産業用貴金属の買取が注目されているの?
一般的に金属は電気を通す性質(電導性)を持っていますが、数ある金属のなかでも群を抜いて電気伝導率が高いのが金やプラチナなどの貴金属です。
その性質を活かし、冷蔵庫や電子レンジといった家電製品や、パソコンやスマホなどのIT機器など、日常のさまざまな機器に貴金属は使われています。
ただ、その使用量は非常に微量であり、取り出す手間や再精錬するコストなどを考えると採算が見合わないことから、そういった機器は従来、廃棄処分されていました。
しかし、昨今の技術革新や相場の高まりから、スクラップのなかから価値ある素材を回収する動きが活発になっています。まずは、今なぜ工業用貴金属の買取が熱いのか、その理由を詳しく解説します。
金の相場は過去最高を更新!素材としての価値がある
そもそも、金や銀、プラチナといった貴金属は、古くから希少性が高く、素材そのものが価値を持つ現物資産です。
特に、金は世界的な経済不安や情勢不安があっても価値がなくなることが考えにくい「安全資産」として、最近は投資目的での購入が盛んになっています。
また、金は先端技術にも多用される素材です。特に、ITを筆頭とした工業製品の素材としても需要が大きく、市場は常に品薄状態です。
このような背景もあり、金の市場相場は史上最高値を更新し続けています。そして、この金の価格変動に連動するように、銀やプラチナなどの他の貴金属の価格も上昇を続けています。
使用済みの工業用・産業用貴金属も溶解して再利用できる
同じ金製品であっても、ネックレスや指輪などの宝飾品は、傷や変形があると買取価格に大きく影響します。宝飾品の多くは、そのまま再販されることがほとんどのため、見た目の良し悪しは、買取を依頼する上で非常に大きなポイントです。
しかし、工業用・産業用に使用されている貴金属は、傷の有無や破損などによって買取価格が変化することがほとんどありません。
これらの貴金属の多くは、集めて溶解・再精錬を経て再び新しい素材として生まれ変わります。そのため、内部に含まれる貴金属成分が抽出できる状態であれば、その貴金属の状態に関係なく買取対象として扱われます。
特に、リサイクル技術の革新が進んだ現在、以前なら捨てていたスクラップ品にも十分な価値を見出せます。不要な機器や部品が、思わぬ高額査定につながる可能性もあるため、捨てる前に査定に持ち込んでみましょう。
産業別で売れる貴金属部材【工業・歯科・理化学】
産業用の貴金属は、科学的な性質を最大限発揮させるために純度が高いことが特徴です。そのため、使用済みや廃棄予定のものであっても、素材としての価値が非常に高く、専門業者を通じて高価買取につながるケースも少なくありません。
ここでは、工業・歯科・理化学の3分野について代表的な「売れる貴金属部材」をご紹介します。
※当記事に記載している価格はあくまで一例です。実際の買取価格は、金の相場や純度などの要因によって大きく変化します。お持ち込みいただいた際に、この価格での買取を保証するものではないことをご了承くださいませ。
工業用貴金属
ほかの金属と比較して、貴金属は電気を通しやすいという性質があります。ミクロの世界では、わずかな電気伝導率の差で性能の決定的な違いが生じることも少なくありません。
そのため、電子機器関連の分野では性能を高めるために貴金属が多用されています。
工業関連で貴金属が用いられている製品といえば、電子部品の接点やセンサーに使用される「ボンディングワイヤ」や、温度測定に用いられる「熱電対」、基板や電子装置の導電に用いられる「銀板」などが代表的です。
工業用製品の買取を依頼するときは、その製品の状態はあまり気にされません。内部に貴金属が残っていれば高価買取が期待できます。
特に、高性能な製品は純度の高い貴金属を使用していることも多く、スクラップ状態でも驚くほどの価値を持つことがあります。処分前に一度査定に出す価値は十分にあると言えるでしょう。
- 銀板:1gあたり80~100円前後(純度による)
- 熱電対(ルビジウム合金プラチナ):1gあたり3,000~4,000円前後
- ボンディングワイヤ(金):1gあたり9,000~11,000円前後
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歯科用貴金属
金は人体と反応してもアレルギー反応をほとんど起こさない金属です。そのため、歯やペースメーカーなど数々の人体の代替組織やメスや鉗子のように医療現場でも幅広くとして使われています。
そのなかでも、歯科用に用いられる金は純度が高く、ある程度のまとまった量が確保できることに加えて、回収も容易であるため、多くの貴金属買取業者が回収に積極的です。
歯科業界で使われる貴金属には、主に代わりの歯として使われる「金パラジウム合金(金パラ)」や「金歯」、そして、いわゆる「被せもの」にあたるクラウンやインレーに使用される「歯科用金合金」などがあります。
歯科用貴金属は患者に合わせた形状に加工されているため、見た目だけでは価値が分かりにくいのも事実です。しかし、高純度の金やパラジウムを素材に用いているため、実は非常に高価な素材です。
取り外されたものや使わなくなった歯科用貴金属も、専門のリサイクル業者に持ち込めば正確な分析と適正価格での買取が可能です。
- 金パラ(12%金+20%パラジウム程度):1gあたり3,500~5,000円
- 金歯(18金相当):1gあたり7,000~9,500円
- 歯科用金合金(20金以上):1gあたり8,000~10,500円
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理化学実験用貴金属
理化学分野では、貴金属を用いた実験装置や器具が少なくありません。科学実験のなかには、高温高圧の非常に過酷な条件下で行う実験も多く、そのような実験に対しては耐熱性・耐酸性に優れた貴金属製の器具が多用されます。
なかでも高温下で物質の融解に用いられる「るつぼ」やさまざまな薬品を混ぜ合わせる「ビーカー」などは、正確な実験のためにもプラチナ製が好まれます。
これらの製品は過酷な状況で使用するため、どうしても摩耗や変形は避けられません。しかし、理化学用品は、「製品」の価値よりも「貴金属」の価値が評価されることが大きいため、傷や摩耗などはそれほど考慮されません。
それ以外にも、分析機器や装置の接点部である「金メッキ端子」も貴金属が含まれている高価な素材です。研究室の移転や機器の更新の際には、不要となった貴金属製品を買取に出す絶好のチャンスです。
- 白金るつぼ・ビーカー(Pt 99.9%):1gあたり4,200~4,800円
- 金メッキ端子(剥離精製後):実質1gあたり1,000~3,000円(回収量により変動)
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貴金属の価格を左右する3つの要素
貴金属の買取価格は、単に金属の重さだけで決まるわけではありません。
もちろん、重量も重要なポイントですが、金やプラチナの「純度」、市場における「素材の相場」、そして業者ごとの「査定の諸経費」など複数の要素が複雑に絡み合っています。これらのポイントをあらかじめ理解しておくと、より納得のいく価格で取引することが可能です。
また、貴金属は業者によって買取のときに重視しているポイントが異なります。自分が業者を選ぶときのポイントにもなるため、確実におさえましょう。
純度
貴金属の価値を大きく左右するのが「純度」です。貴金属製品には、その貴金属の純度を示す刻印がされることが一般的であり、それを見れば純度や混ぜられている金属の種類などもある程度判別が可能です。
たとえば、金は純度を24分率で示すことが多く、純金の「24K」から「18K」「14K」と数字が下がるごとに純度も下がっていきます。
また、銀やプラチナは一般的に千分率で純度を示し、「SV1000」「Pt900」といった刻印で素材に占める貴金属の割合を示しています。
工業用や産業用として使用されていた貴金属素材は、その性質を最大限に活用するため、ある程度の純度が保証されていますが、刻印がないことも珍しくありません。
刻印がなくても多くの業者は買取をしてくれますが、売却前に刻印や純度の確認をしておくと、対応がスムーズです。
素材自体の相場
貴金属の買取価格は、その日その日の貴金属の相場が大きく関係します。定期的に相場をチェックし、売却のタイミングを見極めることが高値売却には欠かせません。
一般的に貴金属の市場は、世界的な不安定情勢やインフレ時には「安全資産」として買われるため、価格が上昇します。最近の相場は、ロシアのウクライナ侵攻や各国のインフレ対策などの影響で、長期的な視点で見ると上昇傾向にあります。
まさに売るには絶好のタイミングと言ってよいでしょう。
また、需要のほとんどを輸入に頼っている日本では、金やプラチナの相場は市場の需要と供給だけではなく、為替相場も大きく影響します。
長期的には上昇基調でも、為替の影響によって1日2日の短期的な視点で見ると取引相場が下がっていることもあるため、売り時の見極めが重要です。
買取店それぞれの諸経費
昨今、大手の買取業者は諸経費がすべて無料というサービスを積極的に行っていますが、やはり手数料や査定料などは買取を依頼する上で無視できません。
貴金属の買取を依頼すると、査定料や分析費用のほか、売買契約に関する書類作成のための手数料が必要です。また、出張買取や宅配買取などを利用すると、出張費や配送料なども上乗せされていきます。
特に、出張買取や宅配買取を利用するときは、後からプラスアルファで必要となる諸経費がないか事前に確認しておきましょう。業者によっては「〇品まで無料」「訪問〇回目まで無料」というように条件があるケースも珍しくありません。
条件を確認せずに依頼すると、後で思わぬ請求を受けることもあります。
貴金属製品を少しでも高く売る方法は?
貴金属の買取価格は、相場や純度も大きな要素ですが、買取業者によっても変動します。産業用途で使われた貴金属は、見た目や状態からは価値を判断しにくいものも珍しくありません。
適正価格で売るためにも、店舗選びや鑑定士選びというのは非常に重要なポイントと言えるでしょう。目の前の金額に飛びつくのではなく、業者の出した金額の妥当性を考えることが、高価買取の第一歩です。
貴金属専門の買取店を利用する
工業用・理化学用など専門性が高い製品は、一般的な街のリサイクルショップでは正しく評価できないことも珍しくありません。専門知識のある査定士が在籍していないため、精密な分析ができず結果的に買取を拒否されるケースもあります。
適切に買取をしてもらうためにも、工業用の貴金属は専門店に持ち込みましょう。そのなかでも「工業用貴金属専門」「歯科スクラップ専門」といった業者は、素材の純度や特性に詳しく、精密な分析機器を揃えているため、正確な査定に基づいた買取が期待できます。
また、専門の看板を掲げていなくとも、買取業者がどの分野に詳しいかは、ホームページなどに掲載されている買取実績を見ればある程度判断が可能です。実績の多寡は提示価格の信頼性に直結するため、売る素材について詳しい業者を探してみましょう。
まとめて買取に出す
複数の貴金属製品がある場合は、まとめて買取に出すのが高額査定のコツです。多くの買取業者では、鑑定する品物の重量や点数が一定数を超えると、査定額を上乗せしてくれます。
個別に売るよりも合計で数%~10%以上のプラスになることもあり、売る側からすると非常にうれしいサービスです。社内や研究室で不要になった製品が複数ある場合は、一括での査定依頼を検討してみましょう。
また、年末や決算期など、買取業者が在庫確保に力を入れる時期は、より高い査定額が提示されることも珍しくありません。業者や店舗ごとにサービスの内容は異なるため、ホームページや口コミなどでキャンペーンの概要を把握しておくとよいでしょう。
複数の買取業者に査定依頼する
貴金属の買取価格は業者によって大きく異なります。特に工業用・産業用などの専門性の高い素材は、1社だけの査定結果を鵜呑みにせず、必ず複数の買取業者に見積もりを依頼しましょう。また、提示された査定額を相場と比較することも重要です。
また、査定額以外にも業者ごとの諸経費も重要なポイントです。手数料の有無や金額の多寡はもちろんですが、必要となる条件なども比較すべき内容です。悪質な業者だと必要以上に高額な手数料を要求したり、記載のない経費を請求する例もあります。
複数の業者に依頼するならば、インターネットでの比較や一括査定サービスを利用するとよいでしょう。また、出張買取や無料査定サービスなどを活用するのも効果的です。
【まずは無料査定から】金貨買取本舗なら工業用・産業用貴金属も買取可能!
金貨買取本舗では、工業用や産業用の貴金属も豊富な買取実績があります。専門の査定士が丁寧に対応し、市場価格に基づいた適正な価格を提示します。
初めての方、とりあえず価値を知りたいだけという方にも安心して利用できるよう、査定料などは頂いておりません。
不要になった貴金属をお持ちの方は、この機会にぜひ金貨買取本舗のサービスをご利用ください。ラインや電話、メールなどでも受付しております。
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